健康栄養学科

ゼミ研究・活動

生涯を健康に過ごすために・・・食生活を見直そう! ~卒業研究~

 前年度に続き和田研究室では、フレイル予防を目的とした献立開発を行っています。

 「家庭での食生活を見直してほしい。」「手軽に調理できる献立には、どのような内容が適しているのか」と考え、基本の料理からひと手間加えることにより、味を変化させたり、手軽に食べられるおやつにしたりとアレンジによって、食品ロスを意識した献立を考えています。また、家庭に常備されている食材(缶詰・麺類・レトルト食品など)や家庭菜園等で収穫する野菜を活用することで、手軽に調理できる献立を考えています。

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【鯖缶を使用したドライカレーとそのアレンジ】

 基本の献立を「鯖缶を使用したドライカレー」とし、食べきれなかった「鯖缶を使用したドライカレー」を春巻きの皮で包んだり、パンに挟んでホットサンドにしたり試作をし、レシピ提案を考えています。

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 生涯を通して、「食べる」ことは基本的生活習慣となりますから、日々の食生活の積み重ねが大切であると感じています。管理栄養士として健康教育に関わっていきたいと思います。(和田研究室4年生)

 

 

※フレイル・・・加齢に伴う様々な変化によって心身が弱くなった状態 (日本老年医学会雑誌

 

高齢者もおいしく食べられる工夫 ~卒業研究~

 高齢になると飲み込む力が弱くなります。そのため、管理栄養士は、高齢の方でも飲み込みやすく、栄養も取れ、おいしい食事を考えています。

 伊藤研究室では、口腔機能が低下した高齢者が安全で美味しい食事を食べられる工夫について研究しています。

 今回はホウレン草について研究したことを紹介します。

 ホウレン草は繊維が多く、通常の状態では口の中に残り、葉の薄さが噛みきれない原因になります。そこで、今回はホウレン草をゲル化剤で固めることにしました。

 調理の工夫としてホウレン草を茹でる時にゲル化剤を使用します。今回使用したゲル化剤には酵素の力で繊維を軟化する働きがあります。ゲル化剤を加えたもの(①)と加えなかったもの(②)を比較すると完成したゲルの繊維の残り方や断面の滑らかさが明らかに異なりました。

 

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 今後は、このゲル化したホウレン草を使用して、キッシュの具材として活用していく為の研究に取り組んでいきます。(伊藤研究室)

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栄養教諭の長期インターンシップと子どもへの料理教室 ~卒業研究~

土屋研究室の卒業研究での2つの活動を紹介します。

◎栄養教諭の長期インターンシップ

 土屋研究室には栄養教諭を目指している人が多くいます。栄養教諭を目指している人は、小学校に長期のインターンシップに行き、実際に働いている栄養教諭の先生のもとでより実践的な勉強をすることができます。土屋研究室の4年生が小学校でインターンシップをさせていただきました。

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~インターンシップに参加させていただいた学生の感想~

長期インターンに行ったことで、栄養教諭の動きや帳票類など細かい仕事を知ることができました。座学だけではわからなかったこと、体験することで学んだことがたくさんあり、とても良い経験ができました。

◎子どもたちへの料理教室

 関市で行われている子ども食堂に来ている子どもたちを対象に、「子どもが家で料理できる」ことを目標にして料理教室をしています。今年は新型コロナウイルスの影響により、対面した料理教室が行えないため、レシピや材料を配布し自宅ですぐ作ってもらえるようにしました。子どもたちの今の調理技術を考慮し、さらにできる事が増えるように新しい調理技術を加え、レシピを考えています。一緒に食育チラシも配布しています。

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岐阜県産の野菜やハムなどをつかったレシピを考え、試作しています。子どもたちが主体となって料理できることや、料理を"楽しい"と感じてもらえることを大切にしています。

教員からひと言

・長期インターン:栄養教諭採用試験に合格するためには、実際の場で起こる様々な出来事に対しての対応がいかに出来るかが大きな要素となってきます。それを学ぶために長期インターンを行い、大学では学ぶことが出来ない事柄を学んできます。

・子どもたちへの料理の支援と研究:地元食材を使った料理を作ってもらい、その後、子どもたちの意識調査、行動調査を行って研究としています。

(土屋研究室)

マスクの微生物汚染の研究に取り組む ~卒業研究~

 皆さんは、新型コロナウイルス対策としてマスクをしていると思います。マスクはどのようにするのが正しいのでしょうか。また、マスクはどの程度微生物に汚染されるのでしょうか。今年の卒業研究のテーマのひとつ「マスクの微生物汚染に関する研究」を紹介します。

 この研究は、マスクに付着している細菌の検査を実施し、新型コロナウイルスによる汚染の可能性を推察することを目的としています。

 新品のマスクをつけ数時間普通に生活します。その上で、マスクがどの程度細菌によって汚染されるかを検査します。もちろん、新品のマスクに細菌はいません。

 マスクの表(外気に接する方)と裏(皮膚に接する方)の汚染の違いを調べるために、少し息苦しいですが2枚を装着して別々に検査します。

 私たちの皮膚にはブドウ球菌が生息しています。従って、裏からは皮膚に生息する菌がたくさん検出されます。しかし、皮膚に接していない表からも裏の1/15ぐらいの菌が検出されてきます。マスクを手で触ることが原因だと考えられます。

 ところで、手はいろいろなところに触れます。触れたところに新型コロナウイルスがいれば手が汚染されます。その手でマスクを触るとマスクが新型コロナウイルスで汚染されることになります。

 正しくマスクを使用しないと、かえって危険なこともあることが予想されます。今、マスクの表と裏を毎日検査中です。 (臼井研究室(微生物学))

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(臼井研究室)

"無塩"米粉100%パンにチャレンジ⁉

 大場研究室では、「小麦、卵、乳アレルギーがある児童でも皆と同じ給食が食べられる機会を増やせないか?」というねらいで「小麦、卵、乳を使わない給食レシピ」を本学オープンキャンパスでの弁当提供を通して検討しています。

 昨年の先輩は、試行錯誤の末、大量調理での米粉100%パンレシピを完成させ、お弁当の主食として米粉100%パンを提供しました。好評でしたが、米粉独特の表面が硬くなりやすい点やもちもち感の軽減も課題であり改良がまだまだ必要です。そこで、私たちは食感の改良に加え、「米粉パンに塩の添加は必要か?」について検討してみたいと考えています。

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 栄養教諭の先生から「ごはんが主食の献立より、パンを主食とする献立では"パン自体の塩分が高く"学校給食摂取基準値内の食塩量にするのに苦労している」と聞きました。

 小麦粉を使ったパンの場合、捏ねの操作によってできるグルテンの網目構造がパンの膨らみには欠かせません。そのとき、塩がグルテン形成を促すので塩が必要です。

 しかし、米粉100%パンの膨らみにはグルテンは関係しないため、必ずしも「塩」を添加しなくてもよいのでは?という発想です。白飯が他のおかずの引き立て役であるように"無塩米粉100%パン"がもしできれば、他のおかずの引き立て役&アレルギー児童も食べられる&給食献立の減塩につながるのでは?!一石三鳥ねらいます!(大場研究室)