健康・医療
管理栄養士へのステップ ~4年生 卒業研究 藤田研究室~
藤田研究室では、昨年に続き「沖縄の健康寿命の延伸」「地域における生活習慣病の予防にむけた活動」、新しく「山県市の健康増進」をテーマに、卒業研究活動を行っています。
- 「沖縄の健康寿命の延伸」
沖縄県で収穫する事が出来る「島野菜」に着目して、祖父や祖母、その知人などにご協力いただきアンケート調査を行いました。
戦前から現在までを比較し、どのように食生活が変化していったのかを知り、今後の健康寿命の延伸を目指すために、どのような食生活を送ったら良いのかを考えていきたいと思います。
山県市で採れる野菜に含まれる栄養素に着目し、メニュー考案を行っています。市民の方々に、栄養に興味を持っていただき、家庭での調理に活用していただけたらと、試作を繰り返しているところです。 リーフレットも作成し、食塩を減らす方法や調理法などを知っていただき、高血圧予防に貢献することを目標にしています。 |
- 「山県市の健康増進」
山県市民を対象に「他市町と比べて、なぜメタボリックシンドロームに該当する年齢が高いのか」について研究しています。集団検診を利用する市民、山県市役所の職員の皆様にご協力をいただき、普段の生活習慣に関するアンケート調査を行いました。
この研究を通して、地域の健康増進に貢献できるような管理栄養士になりたいです。
管理栄養士へのステップ ~4年生 卒業研究 伊佐研究室~
伊佐研究室では、栄養生理を基本に、栄養素の代謝や栄養素自体の特性を調べる研究をしています。本年度は、動物を使用したミネラル代謝の実験と、発酵食品中のビタミン含量の変化を調べる実験を行っています。
動物を使用したミネラル代謝を調べる実験では、タンパク質の種類を変えた飼料を作成して、動物に摂食させ、排泄されるミネラルの量を比較します。タンパク質の種類によってどのように異なってくるのか、また摂取するタンパク質の量によってどのように変わってくるのか、比較検討する予定で進めています。
発酵食品中のビタミン含量の変化を調べる実験では、発酵食品として漬物をターゲットにしています。野菜はそのまま食べるよりも漬物にすると、微生物の働きによってビタミンの含量が増加します。そのビタミンの増加が野菜の種類や漬物の種類などによってどのように変わるのか、比較しています。
実験は、いつも自分たちの考えていた結果が出るわけではありません。また計画した通りに進まないことも多いです。しかし、伊佐研の皆さんは毎日トライ&エラーを繰り返しながらも少しずつ前進し、実験の楽しさ、面白さを感じてくれています。(伊佐研究室)
管理栄養士へのステップ ~4年生 卒業研究 髙田研究室~
髙田研究室では味覚に関連する研究と生理学に関する研究を主体に継続して実施しています。
今まで、飛騨牛やつるむらさきの6次産業化に関する研究など地域と結びついた研究と味覚の基礎的研究を実施してきましたが、今年度からは、「奥美濃古地鶏」に関しての研究を本格的に開始しました。
「奥美濃古地鶏」は岐阜県の銘柄鶏で、一般の肉用鶏(ブロイラー)の約1.5倍以上の飼育期間があることから、食べなれた肉用鶏に比べると、歯ごたえやコクなどの食感が異なります。このことから、岐阜県奥美濃古地鶏普及推進協議会や岐阜県畜産振興課養豚養鶏係と連携して、「奥美濃古地鶏」の良さを引き出す調理方法や食べ方を検討することとしました。
この他にも、本年度の卒業研究としては、カカオ含量の多いチョコレートの食べやすさに関する研究、体温の測定法に関する研究、牛乳の消費拡大とコロナ禍での在宅期間の増加に伴うお家でできるスイーツに関する研究など、研究室生が自ら興味を持った内容の研究に取り組んでいます。
今後も、当研究室では味覚を主体として、地域の畜産や産品と結びついた研究をして行くことにしています。(髙田研究室)
管理栄養士へのステップ ~4年生 卒業研究 臼井研究室~
卒業研究の楽しみ
臼井研究室では、今、四つの卒業研究が進行しています。ここでは、そのうちの一つである「調理器具類の洗浄と消毒の除菌効果の比較の研究」について紹介します。
私たちは、調理器具-例えばまな板を使い終わった後、中性洗剤で洗浄しその上で台所用の消毒剤を使って消毒します。では、細菌の除去という面では「洗浄」と「消毒」のどちらの方が効果的なのでしょうか。どちらだと思いますか?
授業の中で質問すると、ほとんどの学生が「消毒」と答えます。「消毒」に対する絶大な信頼があるのだと思います。
以前の研究で、まな板を使って「洗浄」の方が「消毒」よりはるかに大きい除菌効果を示すことを明らかにしました。その時は、ひき肉を使ってまな板を汚染させたため、ひき肉の脂質で消毒剤が浸透しなかったのではないかという疑問が残りました。
そこで、今回はタンパク質汚れ、炭水化物汚れではどうかという研究を行っています。
現時点での結果では、どうやらタンパク質汚れや炭水化物汚れでは洗浄と消毒の効果はほぼ同じのようです。やはり、脂質汚れでは脂質に消毒剤がはじかれ、浸透しなかったようです。
ところで、この実験では、タンパク質汚れや炭水化物汚れをどのようにつくるのかで、試行錯誤を繰り返しました。いろいろ試したのですが、なかなか適当なものが見つからなくてうまくいきませんでした。結局、タンパク質汚れは卵白、炭水化物汚れは水溶き片栗粉を使い、どちらも加熱・冷却したのち細菌で汚染することにしました。
卒業研究は、授業としての実験や実習とは異なり、どのような方法で研究を行うのかをまず検討しなければなりません。いろいろ予備実験を行いますが、失敗の連続と言ってもいい状態が続きます。ああでもない、こうでもないと話しあい、その失敗を乗り越え研究方法を確立します。研究方法が決まれば、それはもう90%ぐらい研究が終了したと同然です。
研究に失敗はつきものです。でも、それを乗り越えることができたとき、学生の皆さんと一緒に喜びをわかちあうことができます。「できた!」と。
ところで汚れは、現実には、タンパク質汚れ、炭水化物汚れ、脂質汚れと分類できるわけではありません。タンパク質や炭水化物、脂質が交じり合っているのが普通です。ということは、「消毒」に頼りすぎるのではなく、いつでも「洗浄」をしっかりした後、「消毒」することが大切だということです。(臼井研究室)
管理栄養士へのステップ ~3年生病態栄養管理実習~
病院の食事(病院給食)は、病気により糖尿病食や腎臓食など様々な種類の献立が必要となります。病院の規模にもよりますが、100種類を超えることもあります。病態栄養管理実習では、消化管や内分泌疾患等がない、いわゆる一般食を基本として、臨床栄養学で学問的に学んだ病気別栄養基準に沿った献立を作成し、実際に調理し評価します。
3年生となって行う病態栄養管理実習では、腎臓食・膵臓食・肝臓食・消化管術後食を学びます。栄養成分のみならず、食材の質(食物繊維が多い少ないなど)も考える必要があり複雑です。授業は、献立がその病気にあった栄養成分となっているか、味、業務量、多くの制限をクリアした料理が患者さんに食べていただける食事かどうか。など評価します。
また、栄養指導媒体を作成し、模擬栄養指導を2人1組で学習します。病態を理解していても言葉一つで伝わったり伝わらなかったり。言葉選びも学びの一つです。
病態栄養管理実習で、病院管理栄養士の仕事を学んでいきましょう。