健康・医療
管理栄養士へのステップ ~2年生 食品衛生学実習~
食品衛生学実習では、食品の安全に関する検査や実験を行っています。
例えば、牛乳の鮮度測定です。牛乳中で微生物が増殖すると、その過程で乳酸が産生されます。牛乳中にどれだけの乳酸が存在するかを測定することで、牛乳の鮮度がわかります。法律では酸の量が0.18%以下とされています。
皆さんはビュレットというガラス器具を知っていますか? 中和滴定で使う細長いガラス器具です。牛乳の鮮度測定にはこのビュレットを使います。フラスコに牛乳(わずかに酸性物質が含まれる)をとり、ビュレットを用いて上からアルカリを滴下し中和します。中和の終点はフェノールフタレイン試薬で知ることができます。中和のためにどれだけアルカリが必要だったかで、酸の量を計算することができます。この滴定は3回実施し、その平均をとって計算に用います。実習では、この3回の滴定の誤差をビュレット一滴にすることを目標にしています。
ところで、ビュレット一滴の量を知っていますか。ビュレットによって多少の誤差はありますが大体0.05mlです。実は、一滴の中に京(兆の上の単位)の単位で分子が存在します。中和滴定は分子と分子の反応ですので、0.05ml以内の誤差で十分に滴定ができるのです。
初めてだと、3つの滴定を0.05mlの誤差に押さえるのはとても困難です。でも、ビュレット操作の基本を守り、ビュレットから一滴、半滴を落とせる技術を身に着けるとできるようになります。「できた!」という瞬間はとてもうれしいものです。
「目標を持ち、操作の基本を守り、技術に習熟する。」と必ずできます。というわけで、食品衛生学実習では目標を持つことの大切さも併せて学びます。
地元沖縄県の病院管理栄養士に内定しました!
管理栄養士へのステップ ~4年生 伊佐研究室 卒業研究~
伊佐研究室では、栄養生理を基本に、栄養素の代謝や栄養素自体の特性を調べる研究をしています。本年度は、昨年度からの継続で動物を使用したミネラル代謝測定と、発酵食品中のビタミン含量の変化を調べる実験を行っています。
動物を使用したミネラル代謝測定では、タンパク質の種類を変えた飼料を作成して、動物に摂食させ、排泄されるミネラルの量を比較します。ミネラルはカルシウムに注目しています。
発酵食品中のビタミン含量の変化を調べる実験では、発酵食品として漬物をターゲットにしています。野菜はそのまま食べるよりも漬物にすると、微生物の働きによってビタミンの含量が増加します。そのビタミンの増加が野菜の種類や漬物の種類などによってどのように変わるのか、比較しています。今年度は昨年度から新たに野菜の種類を増やしています。どのような結果になるのか、楽しみです。 (伊佐研究室)
管理栄養士へのステップ ~4年生 野村研究室 卒業研究~
野村研究室では、野菜の栄養機能向上を目指した研究に取り組んでいます。その中で、野菜のつるむらさきを紹介します。
つるむらさきは、特徴的な食物繊維を含むため、茹でるとねばねばした食感がでます。また、つるむらさきは薬用食物としても取り上げられることもあり、ビタミンCやカルシウムが豊富に含まれている他に、抗酸化、抗菌性、糖尿病予防にも効果があると言われています。
卒業研究では、つるむらさきを調理したときに、こうした機能性栄養成分がどのように変化するのかをテーマに取り上げて、研究を進めています。(野村研究室)
実際につるむらさきを育てて、実験をしています。
管理栄養士へのステップ ~4年生 板屋研究室 卒業研究~
板屋研究室では、地域住民の健康と食生活の改善について研究をしています。
野菜摂取量の増加や減塩について、長年、国や自治体等ではさまざまな取り組みが続けられていますが、目標に至っていないのが現状です。健康栄養を学ぶ本学学生でさえも、食生活改善が必要な者が多いことが、昨年度の研究でも明らかになっており、個人の行動変容は重要な課題です。
今年度の研究は、特に健康に関心の低い人が多いといわれる若年層や働き盛り世代に響く、効果的な普及方法をテーマに、
①デジタルツールを使った普及方法
②中食(持ち帰り弁当など)で野菜摂取量増加や減塩が期待できる方法
について探っています。
今後、研究結果をもとに、住民の食生活改善をめざし、地域への普及方法とその効果を研究していきたいと考えています。 (板屋研究室)