リフォーム・デザイン案コンテスト

第15回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2023」入選作品と審査評の発表

10月14日に、第15回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2023」の本学にて表彰式を行いました。

遠方からも多くの方に出席いただきました。ありがとうございました。

表彰式後には、作品の中だけでは表現しきれなかった内容や制作上の苦労話もお聞きすることが出来ました。

入賞者・入選作品と審査評をご紹介いたします。(各賞内順不同)

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特選: おばあちゃんとの関わりから気が付いた暮らし方の提案(A技術・デザイン部門)

池田 和花(三重県立伊勢工業高等学校)

この作品は、審査員全員から支持された、『超高校級』の素晴らしい作品です。作者の幼い頃の写真・作品を今も大事に飾ってくれているおばあちゃんの会話を通して、高齢者と若者が、一緒に生活することで、『お互いの時代・時間を尊重し合い、支え会うシェアハウス』を提案。年代を越えた交流を生み出す装置として、吹き抜けに面して『共有棚』を設置、棚には私物、思いでの品々、趣味の作品などが月毎に並べられ、交流が展開されていきます。共有棚は機能を持たせた窓でデザイン化され、2階床梁を残すなど構造的・空間的にも配慮されている。また、持ち物調査、月毎の展示計画等考えられ、折々の会話等も好評でした。

 

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建築士会賞 土間がつなぐ家(Bアイデア・デザイン部門)  

新井 康文、山下 永遠(埼玉県立熊谷工業高等学校) 

まず黒いマット紙に白インクを用いて手描きで描かれた紙面の迫力が目を惹きました。図面も文字もフリーハンドによるものですが、線に味わいがあり、丁寧に仕上げられており、それが古民家をベースとしたリフォームの味わいをよく伝えています。シェアハウスへのリフォームではありますが、個室の床を畳からフローリングに変更するといった最低限の変更に抑え、我が国伝統の古民家の良さを残しているのも好印象です。ただ、入居者を外国人と設定しており、このリフォームでプライバシー等との兼ね合いをどうつけるのか提案があると更に良かった。

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優秀賞Glucklich Houseー家族たちが集うシェアハウスー(A技術・デザイン部門)

久保田 侑寿(愛媛県立吉田高等学校)

この作品は、幼い子供たちも安心して楽しく暮らすことができ、一緒に住む3家族が落ち着けて、一つの家族のようにコミュニケーションが取れる空間構成が評価されました。1階フロアは共有の場の中に、ソファの高さや円卓ダイニング、ワークスペース等、各自が居場所を選びながらコミュニケーションができる工夫がなされています。また、プレイルームの吹き抜けは、子供たちの隠れ家的な空間としての目的と、つながりを感じながら3家族を落ち着ける空間へ導く通路にもなっています。わかりやすい紙面構成とイラスト画、模型制作に取り組んだことも、評価できました。

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優秀賞Dance Home(Bアイディア・デザイン部門)

杉原 瑠花、森川 楽(滋賀県立彦根工業高等学校)

この作品はペルソナの設定が具体的であり、暮らし方が非常にイメージしやすかった。ダンスホールを併設したシェアハウスは、元の間取りを上手く生かしながら、そこで暮らすインストラクターとレッスンを受ける生徒とのゾーニングが考えられており、間取り的にはリフォームの現実味があります。ダンスホールは鉄骨の梁を用いることで大開口を可能とし、外部と一体的に利用することもできます。テラスにも工夫を施し、イベント時の観客席になる細かなアイディアは面白いと思います。また、模型製作もされており、特にイベント時の模型写真は、照明などで雰囲気が上手く表現されていたと思います。

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優秀賞銭湯まるごと一戸分 癒しの湯活♨シェアハウス(Bアイデア・デザイン部門)

辻野 春香(兵庫県立尼崎工業高等学校)

この作品の秀逸なところは、銭湯を単にシェアハウスにするのではなく、銭湯も残しながら、カフェを導入して新たな業態の提案をしているところにあります。莫大な水道・光熱費がかかる銭湯という小規模な業態は、現代ではなかなか成立せず廃業が後を絶ちません。しかし、銭湯部分をミニマムにして集客を付加するカフェを導入し、家族営業ではなくシェアハウスの住人の当番制にすることで、サスティナブルな新業態となり得るかもしれません。複合施設にありがちな動線の錯綜を避け、上手く諸室を配置できています。とてもワクワクを感じることができる作品に仕上がっています。 5辻野春香様_CMYK.jpg

奨励賞文化をシェアする(A技術・デザイン部門)

大石 梓(静岡県立科学技術高等学校)

国際交流や語学力向上を目的とした外国人のシェアハウスは珍しくありません。この作品はそこに一つ共通の趣味として「DIY」を取り入れ、それを企画・製造・販売し、このシェアハウス内で新たなビジネスモデルを構築しようとしているのが興味深かった。また、1Fには広々とした土間スペースが設けられており、それぞれの暮らし方が違う中で、日本の土間は昔から多目的に利用されることが多く、このシェアハウスには最適であると感じました。間取りは土足、上足のゾーニングや、リフォーム前の躯体をもう少し考慮するともっと実現性が出てくると思います。

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奨励賞庭で繋がるシェアハウス(A技術・デザイン部門)

小泉 柚葉(愛知県立豊橋工科高等学校)

木造2階建の既存住宅を「4ベット」のシェアハウスにするリフォーム提案である。入居者を繋ぐコンセプトは、「和風」であり、配置図には 作者の考える「和風庭園」イメージ図と併せ表現されています。入居者が4人と言うことで、浴室・トイレを2カ所、ランドリースペース・シューズクロークを広めに確保し、機能性をUPさせている点、又、共用の和室が計画されていて、好感が持てました。各個室のスペースが、45帖前後と少し狭く、広くゆったりと使える工夫・提案が更にあると、もっと良かったと感じています。

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奨励賞ヒトをつくるアトリエ(A技術・デザイン部門)

堀田 皓生(静岡県立島田工業高等学校)

 

共用のアトリエでの創作活動とギャラリーでの交流がクリエーターとしても人としても成長を促進するというコンセプト設定が現実的でもあり、創造的でもあります。このことが本作品の核心であろう。このコンセプトを実現するための空間のつくり方については、スケッチによるダイヤグラムがとても分かりやすく、この作品の意図することを理解するのを上手に助けてくれています。ただシェアハウスという住まいであることを考えると、アトリエと手洗いを直結するのは分かりますが、トイレや浴室などとてもプライベートな空間とも直結する動線計画にはもう少し配慮が必要かもしれません。

 

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奨励賞育てるシェアハウス(Bアイデア・デザイン部門)

小林 美心(静岡県立浜松工業高等学校)

題名を見たときに何を育てるのか、野菜?植物?と思ったが、人を育てる、いわゆる個人が成長することのできるシェアハウスというのは大変興味深かった。人と人との繋がりが希薄化している現代において、かつての日本のように縁側で交流したり、自然と助け合うことの大切さを改めて感じるようなものになっています。人との繋がりが自分の成長おいて必要であるということが本作品の核心だと感じました。住人構成が特徴的であるが、あえて家族ではない高齢者とシェアハウスをする若い世帯のメリットがもう少し考えられると、若い世帯からも住みたいと思う魅力的なものになっていくと思います。 9小林美心様_CMYK.jpg

奨励賞つながる・成長を求める空間(Bアイデア・デザイン部門)

冨田 陽希(静岡県立浜松工業高等学校)

この作品は、好きな物を共有できたら良いシェアハウスとなり、「人とつながり、互いに成長を求める空間」にしよう、という強い思いが感じられます。今回は本が好きな人が集まって住む設定で、リビング空間の共用の本棚は程よく囲まれたコミュニケーションの空間をつくりつつ、階段式の床やピクチャーウインドウからの抜ける景色と光、のこぎり屋根の天窓からの光が解放感をもたらし、様々なものを吸収する拠点、つながる・成長を求める空間表現となっています。断面図の階段は屋根裏まで続いているのでしょうか?表記の仕方が少し気になりました。 10冨田陽希様_CMYK.jpg

奨励賞ねこ好きが集まるシェアハウス(Bアイデア・デザイン部門)

永井 杏奈(愛知県立南陽高等学校)

ねこ好きの3人が一緒に暮らすシャアハウスへ、ほのぼのとした、リフォーム提案です。既存の2間続きの和室を、ねこラウンジと個室に大きくリフォームしています。ねこラウンジには沢山の夢と提案が盛り込まれています。リビングとの壁には大きな窓を設け、リビングにいながら、ねこと繋がることが出来ます。全ての壁には保護シートを張り、吊り型の収納スペースの下に猫トイレ、観葉植物は吊り下げる等、猫の習性等を良く理解した上での提案もよかったと思います。

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奨励賞小さな図書館(Bアイデア・デザイン部門)

伴 里来(岐阜県立多治見工業高等学校)

読書好きの若い独身女性が4人で住むコンセプトシェアハウスのリフォーム提案です。各自が籠れる「小さな図書館」スペースを持ちつつ、解放的なLDKとの空間の落差が魅力となっています。個人スペース・LDK共にダウンフロアを設け、床座の安心感、木の素材を用いたリラックス空間の中で、落ち着いた個人の時間とコミュニケーションを楽しむバランスがとても良いと思います。夜のイメージを加えたこともプラスとなりました。また、玄関を入ってすぐにダイニングテーブルが配置されており、4人の女子が美味しいものを一緒に食べながら、楽しく暮らしている住まいのかたちが伝わりました。

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学校賞:静岡県立浜松工業高等学校

受賞された皆さん、おめでとうございます! 2021014.jpg

「第15回わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2023」募集要項

※締め切りました!ご応募ありがとうございました!

今年度も《わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト》を開催致します。

「シェアハウスのリフォーム」提案を募集します

ポスターはこちら

 応募期間 2023年8月1日(火)~8月31日(木)(当日消印有効)

(※例年より早まっております)

 募集内容 

近年広がりを見せているシェアハウス。シェアハウス全体、あるいはシェアハウスの中の空間の一部を対象として選び、リフォーム前(写真あるいは図)と、あなたの考えるリフォーム後の構想図(平面図(寸法記入不要)・立面図・透視図など)を描いて送ってください。文系の方もどしどしご応募ください。

 応募資格 

高校生・短期大学生(専門・専攻は問いません。)

 作品応募規定

 次の二つの部門があります。いずれかを選んで応募してください。

A:技術・デザイン部門

提題された住まい(本学HP掲載)を対象にして、シェアハウスへのリフォーム提案を募集します。

B:アイディア・デザイン部門

シェアハウス全体、あるいはシェアハウスの中の空間の一部をリフォーム提案してください。住まい手の設定は自由。(但し対象となる住人条件を明記すること、例)20~30代女性)楽しい発想や斬新な図面表現なども評価します。(リフォーム前の状態を図面や写真等で示してください。)

A・B部門共通事項

(1)用紙:A3以上Aサイズまで1枚、紙質自由(ケント紙が望ましい。)

(2)氏名・学校名・学年などを「出品票」(本学HPに掲載)に記入し、提出作品の裏面右下に糊付けして、下記郵送先まで送付してください。

※ 作品が1点の場合でも、「出品者一覧票」(本学HPに掲載)をお付けください。

 郵送先 

〒501-2592 岐阜市太郎丸80番地 

岐阜女子大学家政学部生活科学科住居学専攻

「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト」係

TEL:058-229-2211(代) 

 審査員 

岐阜県内建築系教員・岐阜県建築士会会員・本学教員プロジェクトチーム

 表彰及び賞 

2023年10月14日(土)に表彰式をおこないます。(予定)

特 選   1点 賞状、副賞(図書券5万円)(A,B部門共通)

建築士会賞 1点 賞状、副賞(図書券3万円)(A,B部門共通)

優秀賞   3点 賞状、副賞(図書券1万円)

奨励賞   若干 賞状、副賞(図書券3千円)

学校賞(優秀作品を多数寄せて下さった高校)、副賞(図書券2万円)

入賞作品は岐阜女子大学家政学部生活科学科住居学専攻HPに掲載し、20242月末まで大学内にて展示予定

 その他

大学HPにて、出品票、出品者一覧票、課題図面がダウンロードできます。(末尾参照)

※ 作品の使用権は主催者に帰属し、応募作品は返却いたしません。

※ 内容に対する質疑応答はいたしません。

※ 規定以外の事項に関しては応募者の自由裁量とします。

◆A:技術・デザイン部門の提題

付図のような昭和50年代に建てられた木造2階建住宅(在来軸組工法)を対象にして、リフォームを考えてください。

 設計条件

(1)第一種住居地域、建ぺい率60%、容積率200%とする。

(2)敷地は角地であり、全面道路の幅員は6m、東側道路の幅員は4mである。周辺敷地も類似の住宅地である。

(3)外構計画は自由とする。

(4)住まい手の人数や年齢、職業等の設定は自由とする。ただし、どのような人をターゲットにしたシェアハウスなのかを、図面内に明記すること。

 その他

(1)壁量は壁量計算で確認する必要はない。通柱、筋違が入っている壁は、変更不可。

(2)構造部材(梁、柱など)を露出する場合の部材の姿は、応募者に任せられる。

(3)現状の屋根は4寸5分勾配、瓦葺き。

(4)その他、図に規定されている以外の内容については、応募者の自由裁量とする。

※ なお、この提題の住宅は、岐阜県内の空き家住宅として登録されているものを再構成したものです。

・第14回入賞作品はこちら

・第15回募集要項

・出品票、出品者一覧表 word pdf

技術・デザイン部門の課題

・図面はこちら

第14回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2022」入選作品と審査評の発表

本日11月6日に、第14回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2022」の本学にて表彰式を行いました。

遠方からも多くの方に出席いただきました。ありがとうございました。

表彰式後には、作品の中だけでは表現しきれなかった内容や制作上の苦労話もお聞きすることが出来ました。

入賞者・入選作品と審査評をご紹介いたします。(各賞内順不同)

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A.技術・デザイン部門

建築士会賞 娘の目線  

奥山 桜美(三重県立伊勢工業高等学校) 

この作品の秀逸な点は、リフォームの3つの方針が明確であることと、部分断面図やアイソメを使った分かりやすいプレゼンです。方針①のリサイクル率50%以上でコストダウンを図ることは計画に現実味を与え、方針②の2階のだんらんの場に畳を利用することは、現代の住宅における新たな畳の活用法を提示しています。また方針③がこの作品の最も重要なところでしょうが、多様な床高の設定は、家族の視高の違いを解消しながら豊かなだんらんを育む大きな可能性を示してくれています。子供の成長とともにどのように使い方を変化させるか、階高を変えない中で床高をどう変えるのかについて提案があるとさらに良かった。 A1奥山桜美様_RGB.jpg

優秀賞角のない暮らし

奥村 空(岐阜県立大垣工業高等学校)

この作品は、家族の集まるリビングを中心に置き、スキップフロアー方式を採用しながら回遊性を持たせて各部屋を再配置した素直な提案です。リフォーム前の名残を各所に残し、新しい暮らしに自然体で入っていけそうな案で、技量の高さを感じます。提案の内容は、丁寧で『解りやすい図』と『説明文』で、見る人を納得させる素直で質の高い作品です。題名の『角のない暮らし』は、人の集まる場所として、円陣・輪をイメージしています。円・輪は『アール』に繋がり、図面のいたるところで円・アールを表現しています。この『こだわり』は設計者として大事な事で、これからも『こだわり』の設計に取り組んで下さい。

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優秀賞生きる力を育む水

佐藤 優多(静岡県立浜松工業高等学校)

この作品は住宅に「水盤」を大胆に取り入れ、水と共に暮らす演出を上手く考えた楽しい作品になっています。水は生きるために欠かせないものと同時に、人に癒しを与えるものでもあります。家の中に居ながら、天候によって変化する水面や水音、天井や壁に映る水光などを五感で感じることでリラックス効果も期待できるでしょう。リビングの水盤も外部と一体化しており、広がりが感じられそうです。現実的に考えると構造やメンテナンスなど検討しなければならない点も多々あると思いますが、災害時の貯水となることも出来そうですね。

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奨励賞地域のリビング

大波 晴(静岡県立浜松工業高等学校)

人と関わることを自粛したコロナ禍を経て、ますます深刻化した地域との繋がりの希薄化を課題として取り上げることは少なくなく、「地域のリビング」という発想もよく理解できます。しかし、「地域のリビング」と言っても何か目的がないと人々が集まるのは難しい。そこでアトリエとギャラリーという用途を住宅に付与し、人々が交流できる場の提供に挑戦しています。ギャラリー部分は階段状になっており、アートを鑑賞する人を飽きさせないよう、限られた空間の中で工夫を凝らしているが伝わりました。また、アトリエに置く作品は廃棄物活用していると設定したことも近年のSDGsの流れを汲んでおり評価できます。 A4大波晴様_RGB.jpg

奨励賞心が安らぐ空間

荻原 空大(滋賀県立彦根工業高等学校)

この作品は、非常に現実的なリフォーム案であることが評価されました。1階部分を大胆なワンルーム空間にすることで開放感を生み出す一方、部分的な間仕切りを設けた子供スペースは緩やかにLDKと繋がる空間に。また2階の読書スペースと夫婦寝室も開口部を吹き抜け部分に設けることにより、1階の気配を感じることができます。コロナ禍で生活リズムが変わり、気付かないうちにストレスを抱えているといわれる中、家族がほど良い距離を取りながら心が安らぐリフォーム案となっています。作品は丁寧に仕上げられていますが、図面・パースなどのプレゼンテーションの表現力を身につけられることを期待しています。 A5萩原空大様_RGB.jpg

奨励賞ストレスのない日々

鈴木 陽斗(静岡県立島田工業高等学校)

 

この作品は、最短距離で家事をスムーズに行う動線で間取りを考えるのではなく、調理動線と洗濯動線を分け、家族の誰もが家事をサポートできる間取りということが評価されました。コロナ禍を経て在宅で仕事をする機会も増えましたが、これからの時代、家族以外の人や家事代行サービスを利用する場合にも、ストレスが軽減できそうです。LDK空間では庭部分にダイニングルームを増築し、あえてK空間と離すことで配膳等の準備も家族で行い、食事以外の趣味室や第二のリビングとして利用するには有効な空間となっています。プレゼンテーションはまとまっていますが、目を引く工夫があるとさらに良かったと思います。

 

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奨励賞:KDLーKからひろがる家族の交流ー

湊 美空、片山 美麗、神代 進之介、藤元 麻琴(国立徳山工業高等専門学校)

この作品は、住宅設計の考え方に一石を投じる意欲的な作品です。現代の住宅設計の主流は、LDKの発想で進められます。作者はこの発想に疑問符をつけ、生きる上で大事な『食』に注目し、キッチンを家の中心に置き『リビングのような家族の集まりやすさを持つキッチン』を提案しています。オープンなキッチンにすることで、音・香り・気配を感じ取れる五感を大事にした家になります。2階に設けた『共用作業スペース』が、リモートで繋がる現代人に、フィットした第2の交流の場にもなり、更に『中庭・和室・縁側』の使い方には、共感・微笑ましさを感じました。全体のレイアウト・プレゼンも良質で、素晴らしいです。 A7湊美空様_RGB.jpg

奨励賞Window house

横山 紘花(群馬県立前橋工業高等学校)

この作品は、2階の床を削って吹き抜けにするのではなく、外部空間-中庭にしてしまうという大胆な発想が評価されました。コロナ禍では外とつながる空間が安心感を与えてくれるのでしょう。また建物にくい込むように外-中庭をつくることで室内空間が開放的になるだけでなく、利用方法も豊かになりますね。子供の独立など家族が減ったりして減築が可能になるタイミングでなら、積極的にやるべきかもと思わせてくれました。もう少しプレゼンテーションに迫力があるとさらに良かった。

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B.アイディア・デザイン部門

優秀賞本と暮らす

井原 花世(長野県立飯田OIDE長姫高等学校)

この作品を見ると、慌ただしい日々を過ごしている井原さん自身が、思う存分ゆっくりじっくり本を読みたいという強い願望が伝わってくる作品となっています。「ゆっくり・じっくり」リラックスしながら読むために、自然に囲まれたようなインテリア空間をコンセプトにしているのが大木をモチーフにした本棚、木の実のランプなど細かなエレメントやディテールからも伝わってきました。あえて畳コーナーを設けているところも、ゴロゴロしながら本を読みたいという思いが見てとれました。一点透視図法を用い、色鉛筆で着彩しているところも柔らかな風合いが表現されており、コンセプトに合っていたと思います。 B1井原花世様_RGB.jpg

優秀賞海で冒険しながら旅をする住まい

塚越 美怜(埼玉県立熊谷工業高等学校)

この作品の素晴らしさは、濃紺の用紙いっぱいに白インクで描かれた、ポスターのように目を引くプレゼンテーションです。見る人の心をぐっとつかむ描画力は本当に素晴らしい。コロナ禍であらゆる行動が制限され、抑圧されてきたエネルギーが画面全体に爆発しているかのようで気持ち良い。住宅という日常空間を、今は中々体験できない非日常的な活動空間にしていて、とても楽しそうです。是非これからも楽しい空間を提案し、創造できる建築設計者あるいはデザイナーになれるよう努力を積み重ねられることを期待しています。 B2塚越美玲様_RGB.jpg

優秀賞芸術品を楽しむ憩いのLDK

野津 三早希(岐阜県立岐阜工業高等学校)

芸術品をキーワードとして、LDKに人が集まり、豊かな時間を過ごすことを提案した作品です。壁一面に作品を展示する造作棚は、作品がバランス良く配置され、その作品の1つ1つが丁寧に描きこまれており、制作者のこだわりが伝わってきました。その他にも、ホームシアターや絵画窓、おうちCaféやブラックボードなどの描きこみも非常にわかりやすく表現されています。LDKで楽しむ、くつろぐ、そしてコミュニケーションを促す要素が満載で、Kの収納も含め本当に細かいところまでよく考えて、デザインされていることが高評価につながりました。 B3野津三早希様_RGB.jpg

優秀賞つながるアウトドアすぎる家

福山 和奈(兵庫県立尼崎工業高等学校)

大変切れ味の良い、素晴らしい作品です。平面計画も単純で好感が持てます。図面全体のレイアウト・説明文・パースは、全てにセンスの良さを感じますし、余分なものが一つもなく、プレゼン能力の高さを十分に感じます。特にイメージパースの出来栄えは、『素晴らしい』の一言です。このようなレベルの高い作品に纏め上げる能力を持つ人は、そう多くはいません。これからも精進を忘れずに、目の前の作品に取り組まれ、更なる高みを目指して欲しいと思い、エールを送ります。

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奨励賞みまもる目線ー家族の存在を感じる家ー

赤木 夢(宮崎県立日向高等学校)

この作品の背景には、コロナ禍で求められ続けてきた人と距離をとる日常で感じている孤独感や孤立感があるのでしょう。それならば家族とぐらいは必要な距離をとりながらもしっかりとつながっていたいという思いをカタチにすると、中庭を中心にすべての部屋が視線でつながり、お互いの存在感を感じることのできる住まいになるということだと感じました。床を削るのには勇気がいりますが、それによって目線が通い合う住まいを実現しています。専門的知識がない中で模型づくりにまでチャレンジされていることにも好感が持てました。

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奨励賞家族とのやすらぎ時間

貝原 磨明(静岡県立浜松工業高等学校)

この作品には、東日本大震災以降の若い世代で強まってきた家族とのつながりを大切にする風潮が色濃くあらわれているように感じます。一方でコロナ禍で求められ続けてきた人と距離をとる日常もあり、距離をとりながらもお互いに存在を感じることができるよう、キッチン-ダイニング-リビング-小上がり形式の和室(新設)を一つながりの大きな空間としながらも様々な居場所をつくることができています。工業高校で建築を学んでいる高校生らしい真摯に住空間の問題改善に取り組む姿勢ときれいな図面やアクソメで表現している点に好感を持ちました。これからも頑張ってください。 B6貝原磨明様_RGB.jpg

奨励賞オブジェと暮らす生活倉庫

酒井 乃亜(兵庫県立尼崎工業高等学校)

鉄骨造などの倉庫をコンバージョンして店舗になどにすることは少なくありません。この作品もごく一般的な鉄骨造の倉庫をアトリエ併設のシェアハウスする提案になっています。しかしこの作品の特徴は、リサイクルアートを作り始めた人が住むというの設定となっており、環境問題に配慮しているところです。様々なリサイクル品が並び、シェアハウスの個室までもがリサイクル段ボールでつくられているのも面白い発想です。「倉庫」という空間だからこそ、このリサイクル品やリサイクルアートがとても馴染んでいるようにも感じます。 B7酒井乃亜様_RGB.jpg

奨励賞古民家でつくる家族時間

西本 ほのか(長野県立飯田OIDE長姫高等学校)

「都会の一角にあるごく普通の古民家」を昔の形を残しつつ、現代ニーズにあわせ、自然とも家族とも向き合えるリフォームの提案です。先ず、古民家には付き物の囲炉裏の活用方法です。作者はこの人の集まるスペースを、箱庭に再生させ、照明はつけず、天窓からの光が当たるように計画しています。土間部分にはアイランド型のキッチンを設け、家族の交流の場に、納戸は畳敷きのマルチスペースとして、子育て・勉強・仕事に使います。全体を通してゆったりとした、のどかな空間を感じさせる良い作品です。

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奨励賞星と図書館

藤井 紅香(愛知県立杏和高等学校)

この作品は、空(星)とつながる天窓と空想の世界に浸る図書館を設けることで、コロナ禍の不安やストレスを少しでも家の中で癒そうと、考えられたのではないかと思いました。LDK空間の天井には星空をイメージした仕上げと天窓、その上にあるロフトの寝室にも大きな天窓と丸窓があり、星を眺めることはもちろんのこと、外部とつながっているという安心感をもたらす装置になっています。また、LDKには天井まである本棚、出窓付のコーナーにはソファを配置し、木製の落ち着いた内装はゆったりと想像の時間を楽しむことができそうです。イメージしたものが、よく表現されていると感じました。 B9藤井紅香様_RGB.jpg

学校賞:静岡県立浜松工業高等学校

受賞された皆さん、おめでとうございます! 20221107.jpg

11/6(日)リフォーム・デザイン案コンテスト表彰式 及び ワークショップ開催!!

11/6(日)11:30より「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト」表彰式を行います。(受賞された方には別途ご連絡をしております。)

併せて10:30よりワークショップを開催します。

建設業界でも活用されている「ドローン」の飛行体験や、どのように実際活用されているか事例を交えてご紹介いたします。

ぜひお越しください。

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第14回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2022」入賞作品の発表

第14回 わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2022 にご応募をいただき、ありがとうございました。厳正なる審査を行いましたので、入賞作品を発表させていただきます。尚、11月6日に本学にて入賞作品の表彰式を行う予定をしております。表彰式終了後、作品と講評をHPに掲載させていただきます。

A.技術・デザイン部門

建築士会賞 「娘の目線」

奥山 桜美

(三重県立伊勢工業高等学校)

優秀賞 「角のない暮らし」

奥村 空

(岐阜県立大垣工業高等学校)

「生きる力を育む水」

佐藤 優多

(静岡県立浜松工業高等学校)

奨励賞 「地域のリビング」

大波 晴

(静岡県立浜松工業高等学校)

「心が安らぐ空間」

荻原 空大

(滋賀県立彦根工業高等学校)

「ストレスのない日々」

鈴木 陽斗

(静岡県立島田工業高等学校)

「KDLーKからひろがる家族の交流ー」

湊 美空、
片山 美麗、
神代 進之介、
藤元 麻琴

(国立徳山工業高等専門学校)

「Window house」

横山 紘花

(群馬県立前橋工業高等学校)

B.アイディア・デザイン部門

優秀賞 「本と暮らす」

井原 花世

(長野県立飯田OIDE長姫高等学校)

「海で冒険しながら旅をする住まい」

塚越 美怜

(埼玉県立熊谷工業高等学校)

「芸術品を楽しむ憩いのLDK」

野津 三早希

(岐阜県立岐阜工業高等学校)

「つながるアウトドアすぎる家」

福山 和奈

(兵庫県立尼崎工業高等学校)

奨励賞 「みまもる目線ー家族の存在を感じる家ー」

赤木 夢

(宮崎県立日向高等学校)

「家族とのやすらぎ時間」

貝原 磨明

(静岡県立浜松工業高等学校)

「オブジェと暮らす生活倉庫」

酒井 乃亜

(兵庫県立尼崎工業高等学校)

「古民家でつくる家族時間」

西本 ほのか

(長野県立飯田OIDE長姫高等学校)

「星と図書館」

藤井 紅香

(愛知県立杏和高等学校)

学校賞 静岡県立浜松工業高等学校

入賞者の皆様おめでとうございます!

また、入賞作品は今週行われます「さぎ草祭」にて10号館1階に展示いたします。