リフォーム・デザイン案コンテスト

第17回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2025」表彰式&入選作品と審査評の発表

10月11日に、第17回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2025」の本学にて表彰式を行いました。

遠方からも多くの方に出席いただきました。ありがとうございました。

表彰式後には、作品の中だけでは表現しきれなかった内容や制作上の苦労話もお聞きすることが出来ました。また他の受賞者の作品を見て、互いに良い刺激になっていました。

入賞者・入選作品と審査評をご紹介いたします。(各賞内順不同)

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建築士会賞:亀岡夫婦と噂の別宅(A技術・デザイン部門)  

大條 莉音(福島県立福島工業高等学校) 

この作品はストーリーにもある通り、作者の住む福島県・伊達地方の明治の頃、養蚕業で成功した亀岡家夫婦の現役引退後の生活を想像しながら組み立てられた作品です。
ストーリーと設計主旨は、平易で端的な文章に纏められ、見る人の想像力を刺激します。養蚕業に関わりの深い「桑の実」を手掛かりに、「土地の恵みを活かし、人に喜びを与える」をテーマに町屋をリノベーション、食事も提供するジャム工房を営む設定になっています。
図面のレイアウトは好感の持てるもので、特に限定された色での各部の表現はレベルの高さを感じさせ、タイトルの「~噂の別宅」と併せ、見る人を素直に引き込む良い作品です。

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優秀賞:Root.-小さな食卓のはじまり-(A技術・デザイン部門)

坂井 希優(岐阜県立岐阜工業高等学校)

小さな食卓を「中心」に、伝統、家族、子供と高齢者などの様々な問題について物語る素晴らしいコンセプトであり、その空間表現も非常に分かりやすくまとまっています。
高齢者夫婦の生活空間を二階に、一階には夫婦が経営する「子ども食堂」が配置されています。子供と地域が繋がるポカポカテーブルを持つ「子ども食堂」は計画・デザインを通じて、高齢者、地域社会、子供、家族団らんなど将来にあるべき生活文化の在り方を示そうとした試みが見て取れます。現実の生活に存在する社会的問題を解決しようとしたデザイン姿勢を高く評価します。

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優秀賞:知る空間~ダイニングバー「ウナギの寝床」~(A技術・デザイン部門)

田中 架羽(愛知県立愛知総合工科高等学校)

「知る」には、大きく二つの意味があり、一つは町屋の建物の魅力を知る、もう一つはこのダイニングバーでかかわる"人"を知る。地域の文化や町屋の希少性を考慮し、「知る」ことの価値を空間に落とし込もうとする試みは、単なる飲食空間に留まらず、交流や学びの場としての可能性を感じさせます。プランはとてもシンプルながら、町屋特有の通り庭や大きな梁、格子といった要素を丁寧に残し、ダイニングバーとして再生させようとする姿勢が評価できます。ここで住まいながら働く夫婦のタイムスケジュールも考えられており、生活の様子がよく分かりました。このようなダイニングバーが存在することが容易に想像できます。

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優秀賞:森と夜空(Bアイデア・デザイン部門)

浅井 夏葵(聖マリア女学院高等学校)

まず手描きパースの画力が素晴らしく目を奪われました。テーマである異世界の雰囲気漂うデザインの部屋が独特のタッチで描かれており、そのままアニメの原画になりそうです。全体の雰囲気だけでなく、壁、床、天井の素材感やカーペット、カーテン、照明器具から、たくさんの小物に至るまで細部にこだわっていることが伝わる表現力が素晴らしい。
A3という小さな紙面ですが、本当に異世界の物語に思いを馳せることが好き、この部屋だったら他のことを投げ捨てて帰りたくなる、という気持ちが伝わってくる迫力ある作品に仕上がっています。
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優秀賞:時間を変える(Bアイデア・デザイン部門)

國弘 詩織(早鞆高等学校)

この作品は「帰りたくなる部屋」をテーマに、自己実現の「理想の部屋」を考案しようとしたものです。部屋は単なる「寝る」、「勉強する」ための部屋だけでなく、自分らしく落ち着ける「場所」でもあるべきだというアイディアは素晴らしい発想です。このようなコンセプトに基づいて、「休息」、「気分転換」、「快適性」、「採光」、「ペット」というキーワードを取り入れたシンプルで分かりやすい計画になっています。
「時間を変える」ということは、「理想を実現」することでしょうか。もう少しタイトルとの関連性が明確になるとなおよいでしょう。
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優秀賞:猫と過ごす秘密基地(Bアイデア・デザイン部門)

藤塚 琉衣(岐阜県立羽島北高等学校)

猫好きであればまさしく一目散に帰りたくなるであろう部屋になっています。猫と人が共に心地よく過ごせる空間を秘密基地のように仕立てたユニークな提案です。キャットウォークや造作棚を活かした立体的な構成は、猫にとっての遊び場であると同時に、飼い主にとっても眺めて楽しめる空間です。また、勉強スペースでは集中して取り組めるような実用性もしっかりと考えられ、ペットとの共生、癒しと実用性のバランスが取れていると思います。アイソメ図での表現も分かりやすく、「帰りたくなる理由」を感覚的に伝えることに成功している、温かみと遊び心にあふれた提案です。 6.jpg

奨励賞:灯-Tomoshibi-
~静かに灯る、和と現代のくつろぎ空間~(A技術・デザイン部門)

岩下 桃花・大久保 美空・鈴木 愛佳・鈴木 萌花(国立小山工業高等専門学校)

灯りをキーワードとした住居兼バーをデザインした作品です。昼と夜と異なる「灯」によってさまざまな建物の表情がみられるのはとても素敵だと思います。道路から一歩「引いた」入口には、やわらかな明かりが灯り、人をやさしく誘い込むようなデザインの工夫がうかがえます。開かれた中庭はバーの雰囲気をより盛り上げてくれそうです。バーが中心に考えられているため、難しい部分もあるかもしれませんが、居住部分はもう少し居住者に寄り添ったプランになるとなおよいでしょう。全体の紙面構成が大胆で、パースで空間のよい雰囲気が表現されており、とても目を引きました。

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奨励賞:匠の箱(A技術・デザイン部門)

小塩 優衣(静岡県立科学技術高等学校)

町家を「くら」「いえ」「たな」「ばしょ」「くうかん」「みせ」という多様な役割をもった「箱」としてとらえ、あえてあまり大きな手を加えずに伝統工芸職人のアトリエ兼住まいとして発展的保存を図ろうとする作品です。
職住共存の建物としての町家の本質的価値を継承しながら、職と住のゾーニングを見直し、なおかつ他人である住人同士の関係を室配置で分かりやすく表現できています。シンプルなコンセプトをシンプルな図面と断面パースなどで表現しており、とても分かりやすくまとまっています。

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奨励賞:海で溺れている人は浮き輪で救う!
人生で溺れているひとはドーナツで(A技術・デザイン部門)

川原 桜來・坂本 唯斗・松村 青空(群馬県立前橋工業高等学校)

 

何ともユニークなタイトルとイラストで思わず手に取ってしまいます。手に取って見てみると、ドーナツで人生に疲れている人や助けを求めている人を救うというコンセプトに驚きとともに笑みがこぼれます。きっとこのドーナツ店は今の時代に流行りそう、そう感じます。
1階の店舗のレイアウトもキッチンの配置に工夫して、テイクアウトとイートインをうまくさばけるようにしています。店の内外に飾られた浮き輪もミスマッチのようで意外と和傘のように町家のたたずまいにマッチするのかもしれません。実現させてみたいと思わせる楽しくも現実感ある作品です。

 

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奨励賞:回帰~太鼓が呼び戻すまちの鼓動~(A技術・デザイン部門)

増田 ゆずな(静岡県立浜松工業高等学校)

今では使われなくなった町屋を『大改造』して「和太鼓」を中心に据えた住まいを造り、そこから発生する熱量で、若者たちを呼び込もうするパワー溢れる作品です。まず図面の満開の桜に惹かれ、断面パースの普通では有りえない屋根形状に興味を持ちました。通常、町屋の奥にある庭が位置を替え、重要な機能を持った中庭に生まれ変わる発想は素晴らしく、屋根の形状変更と併せて力強い提案になっています。説明文とダイアグラムによってその全体像がやっと理解できる大胆な提案で、細部については今後越えなければならないハードルもありますが、それらを凌駕する「若さに満ちた」素晴らしい作品です。 10.jpg

奨励賞:本と自然の癒しを求めて(A技術・デザイン部門)

吉村 美柚(静岡県立浜松工業高等学校)

町屋本来の考え方である通り沿いに面した"みせ"をあえて通りから奥まった場所へ持ってくる発想は独自性があります。誰もが来やすい場所というより、知る人ぞ知るブックカフェという存在になり、居心地の良さを生み出す気がします。奥にブックカフェを設けることで、庭とうまく繋げ、カフェの一部としての利用が可能になっています。自然の癒しを享受し、藤棚の下で落ち着いて本と向き合える空間をつくり出すと同時に、ゆったりと時間が流れるような雰囲気を演出しています。断面パースや利用イメージのスケッチも丁寧で、訪れる人がくつろぐ様子が具体的に想像できます。

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奨励賞:洋と和が交差する空間(Bアイデア・デザイン部門)

臼井 千晴(屋久島おおぞら高等学校)

伝統的な和室など和の要素が失われていく日本において、あえて和の要素を洋室に採り入れることで使いやすく、リラックスできる部屋にリフォームしようと試みた作品です。特に畳や建具における和の素材により、暮らす人の五感を通してリラックスできるようにと考えられています。
畳にビーズクッション、開口部や照明器具に障子といった組み合わせは現代の商業空間などでもよく目にするようになっていますね。畳や和紙の使い方にもう少し突っ込んだ提案があるとさらに良かったですね。
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奨励賞:開放感と癒しの部屋(Bアイデア・デザイン部門)

大前 實洋翔(箕面自由学園高等学校)

作者の考えるリフォーム計画のテーマに沿った、素直で大変解りやすく纏められた作品になっています。開放感と癒しを獲得・実現させるために、6つの提案があります。大きくは2部屋間の間仕壁を無くし、外壁側に大きな2つの窓設け、開放的なワンルームをつくり出しています。部屋の隅に寄っていたキッチンを、部屋の中央寄りに移動させ、何時でも家族の気配を感じられるスペースとして、機能するように考慮されています。インテリア的には 畳部屋をなくしプロジェクターを設置、床材も茶色から明るい肌色で統一し、天井には梁を設け開放感を強調しています。全体として無理が無く、現実味のある良い作品です。

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奨励賞:帰りたくなる部屋~温かみあるほっこりRoom~(Bアイデア・デザイン部門)

渡辺 夢叶(愛知県立南陽高等学校)

この作品は「帰りたくなる部屋」というテーマを「温かみあるマイルーム」として明快に示し、自然素材や温かみのある色彩を取り入れた癒しの空間を描き出しています。BeforeとAfterを対比させることで、空間の変化が一目で理解でき、家具やカーテン、照明や小物などのインテリアエレメントが統一感をもって演出されている点が魅力的です。特に緑や木目を基調とした配色は、自然とのつながりを感じさせ、帰宅時に心を落ち着かせる効果をもたらしています。全体を通して、安心感と温かみを兼ね備え、「自分だけの居場所」としての特別感を持つとても現実的なリフォーム案に仕上がっています。 14.jpg

学校賞:静岡県立浜松工業高等学校

受賞された皆さん、おめでとうございます!

「第17回わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2025」募集要項

2025年4月より、「住居学専攻」は「建築デザイン専攻」へ名称を変更しました!

今年度も《わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト》を開催致します。

ポスターはこちら

 応募期間 2025年8月1日(金)~9月2日(火)(当日消印有効)

 募集内容 

次の二つの部門があります。B部門は高校等で建築を学んでいない方のみ対象です。いずれかを選んで応募してください。※A部門とB部門の関連はありません。

A:技術デザイン部門 「小さなお店を併設した住宅」

近年町屋の再生や保存のために、町屋をさまざまな用途で活用する取り組みが各地でなされています。提題された町屋(本学HP掲載)を対象として「小さなお店を併設した住宅」のリフォーム案(平面図・立面図・透視図等)を描いて送ってください。住まい手の設定、お店の種類や形態は自由。

B:アイディア・デザイン部門 「帰りたくなる部屋」

自宅の一室を対象として、「帰りたくなる部屋」のリフォーム案(間取り図、イメージ図等)を描いて送ってください。(リフォーム前の状態を図面や写真等で示してください。)楽しい発想や斬新な図面表現なども評価します。

文系の方もどしどしご応募ください。

 応募資格 

高校生・短期大学生(専門・専攻は問いません。)

B部門は高校等で建築を学んでいない方のみ対象です。

 作品応募規定

A・B部門共通事項

(1)用紙:A3以上A2サイズまで1枚、紙質自由(ケント紙が望ましい。)

(2)氏名・学校名・学年などを「出品票」(本学HPに掲載)に記入し、提出作品の裏面右下に糊付けして、下記郵送先まで送付してください。

※ 作品が1点の場合でも、「出品者一覧票」(本学HPに掲載)をお付けください。

 郵送先 

〒501-2592 岐阜市太郎丸80番地 

岐阜女子大学家政学部生活科学科建築デザイン専攻

「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト」係

TEL:058-229-2211(代)

 審査員 

岐阜県内建築系教員・岐阜県建築士会会員・本学教員プロジェクトチーム

 表彰及び賞 

2025年10月11日(土)に表彰式をおこないます。(予定)

特 選   1点 賞状、副賞(図書券5万円)(A,B部門共通)

建築士会賞 1点 賞状、副賞(図書券3万円)(A,B部門共通)

優秀賞   3点 賞状、副賞(図書券1万円)

奨励賞   若干 賞状、副賞(図書券3千円)

学校賞(優秀作品を多数寄せて下さった高校)、副賞(図書券2万円)

入賞作品は岐阜女子大学家政学部生活科学科住居学専攻HPに掲載し、2026年2月末まで大学内にて展示予定

 その他

大学HPにて、出品票、出品者一覧票、課題図面がダウンロードできます。(末尾参照)

※ 作品の使用権は主催者に帰属し、応募作品は返却いたしません。

※ 内容に対する質疑応答はいたしません。

※ 規定以外の事項に関しては応募者の自由裁量とします。

◆A:技術・デザイン部門の提題

「小さなお店を併設した住宅」

付図のような間口2.5間の町家を対象にして、リフォームを考えてください。

 1 設計条件

(1)第一種住居地域、建ぺい率60%、容積率200%とする。

(2)建物の出入り口は北西に面しており、前面の道路は幅員6mで北東から南西に通り抜けている。両側および道路をはさんで北西側も類似の住宅がつらなっている。

(3)外構計画は自由とする。

(4)住まい手の設定(人数、年齢等)、お店の種類や形態は自由とする。ただし、どのようなお店なのかを、明記すること。

 2 その他

(1)壁量は壁量計算で確認する必要はない。

(2)構造部材(梁、柱など)を露出する場合の部材の姿は、応募者に任せられる。

(3)現状の屋根は4寸勾配、瓦葺き。

(4)その他、図に規定されている以外の内容については、応募者の自由裁量とする。

 

※ なお、この提題の町家は、本学の学生が1981年に調査した「旧中川原町並調査報告」(岐阜市教育委員会刊)に載っているものを再構成したものです。

・第16回入賞作品はこちら

第17回_募集要項_リフォーム・デザイン案コンテスト2025.pdf

出品票・出品者一覧票.pdf 出品票・出品者一覧票.docx

A部門技術・デザイン部門の課題

2025図面.pdf 

一式ダウンロードはこちら(A部門のCADデータ(jww)もダウンロードできます。)

第16回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2024」入選作品と審査評の発表

10月12日に、第16回「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2024」の本学にて表彰式を行いました。

遠方からも多くの方に出席いただきました。ありがとうございました。

表彰式後には、作品の中だけでは表現しきれなかった内容や制作上の苦労話もお聞きすることが出来ました。

入賞者・入選作品と審査評をご紹介いたします。(各賞内順不同)

リフォーム案コンテスト2024ポスター.pdf

建築士会賞 Allium(A技術・デザイン部門)  

服部 心乃春(滋賀県立彦根工業高等学校) 

前面道路との境界空間の深い軒と格子による「外と内をつなぐ彫りの深い町家のファサード」をカフェのテラス席とステージに変え、より町に開いたワクワクする町家にすることができています。きっと町との多様なつながりが生まれ、ここに住まいカフェを営む新たな3人を町全体で応援したくなる、そんなシェアハウスになりそうですね。ファサードだけでなく屋内空間も鉛直方向につなぎ、狭い町家の空間に広がりを持たせることにも成功しています。ただ前面にテラス席とステージを大きくとったがゆえに裏の庭が失われてしまったのは残念です。小さくても裏の庭の空間を残すことが町家の町には必要だったのでは。

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優秀賞日本文化でつながるシェアハウス(A技術・デザイン部門)

二方 絢華(大分県立大分工業高等学校)

全体を通して、力みが無く、『日本文化』というキーワードで、大変上手に纏められた作品です。日本史を学ぶ居住者の設定、町屋の味のある空間を最大限活かせる日本の文化 『茶道』と『陶芸』の体験と交流。 通り庭には展示・販売スペースが設けられ、吹き抜け空間には黒く光った太い梁、奥の庭には茶室への躙り口。併せて和傘に守られた、『和菓子お茶』を味わうスペースが確保されている。2階には居住者の床の間・押入れ付の和室が2部屋、『茶陶楽』と命名された店名もブレルことなく一貫して『和』に拘っている点は高評価につながった。説明用に描かれたイラストも効果的で良い。

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優秀賞岐阜女子家族(A技術・デザイン部門)

丹羽 玲央菜(三重県立伊勢工業高等学校)

現状の町家に女子大生がシェアハウスとして住むための問題点を挙げ、また町家の特徴を踏まえたうえで、リフォームの提案をおこなっているプロセスが明確で評価できます。1階玄関の土間空間は、道行人とのコミュニティの場としてつながりが良く、台所上部の吹き抜け空間も住人同士の交流を促す装置として機能しています。中庭を介した離れの増設により、1階の土間空間から和室、中庭、ウッドデッキへと自然につながる共用空間と、それぞれのプライベート空間がバランスよく配置されているのも見事です。また、住民の学びを活かした空間使いの配慮が見られ、非常によくまとまっている作品です。

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優秀賞#ゆるコス△ コスプレ女子のシェアハウス(Bアイデア・デザイン部門)

井手ノ上 玲央(兵庫県立尼崎工業高等学校)

Z世代が求めている"自分らしさ"を追求しながらも他者との繋がりを重視するライフスタイルを実現できる場所を表したものになっていると感じました。固定の住居を持たない暮らし方というのも、現代ならではの傾向です。ペルソナの設定が非常に具体的で、住人である3名の出会いも今時で非常に面白いと感じました。通常我々が考える"日常"生活を送るシェアハウスとは異なり、"非日常"を求めるシェアハウスのため生活部分を最小限のスペースとしているのも平面計画から読みとれます。暮らし方も多様化している中で、このようなシェアハウスを求めている人も多いのではないでしょうか。 4井手ノ上玲央様_CMYK.jpg

奨励賞時間と知識をシェアする町屋(A技術・デザイン部門)

阿久津 結伊・太田 もな実・澤井 凪沙(国立小山工業高等専門学校)

この作品のおもしろいところは、老夫婦と若者の役割が明確に分かれているところだろう。普通に考えると若者が職人として伝統工芸を学ぶといったコンセプトになりがちだが、そこをあえて若者は自分たちの得意なデジタル技術で老夫婦と伝統工芸を支えるというコンセプトにすることで、1階と2階の雰囲気がまったく異なるおもしろいシェアハウスにすることができている。空間の分割も上手で、小さな吹抜け空間をつくることで上下の異なる雰囲気をうまくつなげ、それぞれを際立たせることができている。

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奨励賞町屋図書館~本から生まれるコミュニティ~(A技術・デザイン部門)

杉山 莞太(静岡県立科学技術高等学校)

町屋ならではの"みせ"部分を本好きの住人だけでなく地域の人も集える図書館として提供することで、地域コミュニティの活性化を図るというコンセプトのこのシェアハウスは、デジタルブックが増加する昨今、紙媒体の"本"と昔ながらの"町屋"が非常に相まっており、とても魅力的な空間になることが想像できます。また、図書館にはユニット化された本棚や読書スペース、建具の格子のデザインなどのエレメントも現実的ながらも工夫がなされているところも評価できました。せっかくのシェアハウスであるため、リビングやダイニングの住人の共有スペースの計画をもう少し充実させると、なおよかったと思います。

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奨励賞移り変わる通り庭(A技術・デザイン部門)

田中 絢菜(三重県立伊勢工業高等学校)

 

この作品は町屋に手を加え 若者が3人でシェアする店舗の提案です。限られたスペース・空間を最大限生かす工夫が随所に生かされた提案になっています。特に『通り庭』に注目して時間帯によってその機能を変化させ、狭さを感じさせない工夫が施されている。各所に吹き抜けを設けられ、各店舗・個室の独立性などを確保すると同時に、空間的ゆとりも感じられるように考えられています。図面構成・配色も素晴らしく「ある日の出来事」では 朝700から就寝の2300までの各スペースの使われ方が時間と共に表記され、全体を理解する方法として役立っています。好感の持てる作品です。

 

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奨励賞あの頃に戻れるシェアハウス(Bアイデア・デザイン部門)

上杉 凛・芦原 歩佳(仁愛女子高等学校)

「喫茶店をシェアハウスにリノベーションする」という提案がとても素敵ですね。特に、ノスタルジーを感じさせる「あの頃に戻れる・・・」というタイトルと色鉛筆での着彩表現が、その喫茶店の温かみや過去の思い出を強調している点が印象的です。店舗のカウンターとテーブル席の一部を残しながら、新たに和室スペースを設けることにより、住まいとしての居心地の良いLDK空間ともなっています。店主と常連客の思い出を大切にしながら、中高年層のシェアハウスということで椅子への工夫や庭がコミュニティの新たな出会いや交流の場として機能するアイデアも好感が持てました。 8上杉凛様_CMYK.jpg

奨励賞デザイナーの共同アトリエ(Bアイデア・デザイン部門)

近藤 さくら(高松第一高等学校)

これは新しいリビングの姿の提案ですね。日本人の住まいのリビングは「何でもやる部屋」という形であることが多いですが、この提案では「デザイン創造の刺激を与え、与えられる共同空間」に特化しています。「いったい食事はどこでとるの?」「テーブルを囲んでの団欒はどうするの?」などということはどうでも良いくらい3人の住人はデザインに夢中なのでしょう。家族の住まいではなくシェアハウスだからできたのかもしれませんが、明治時代になって日本に入ってきたリビングという空間、もうそろそろこのような尖ったリビングの使い方と空間演出が一般的になっても良いかもしれませんね。

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奨励賞結~人とのつながり~(Bアイデア・デザイン部門)

長久保 愛(長野県飯田OIDE長姫高等学校)

4人の若い女性のシャアハウスの提案である。この案は、間仕切りを取り払い、通り庭も取り込み、LDK機能を持った大きな空間を創り、住人の集う場を提案している。中心には通り庭との高低差を利用した座席を想定、既存の柱を取り込んだ大き目の丸いテーブルを置き 食事だけでなく 住人のコミュニケーションは勿論 自己啓発(勉強) 来客対応などにも幅広く活用することを提案しています。インテリアは小上がりに畳を敷き 丸窓・障子などを使い 町屋の雰囲気を残した『和モダン』の内装になっています。イメージ図には畳に寝転ぶ住人の姿もあり『ほっこり』とする好感の持てる提案です。

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奨励賞SSR ~senior shared room~(Bアイデア・デザイン部門)

長久保 美妃(岐阜県立多治見工業高等学校)

「元気な高齢者」というキーワードから、スポーツジムをシェアハウスと融合させた提案は、時間に縛られず一人ではさぼりがちな運動も楽しく取り組むことができ、住まいと運動空間の両立を図った点で非常に魅力的です。1階では既存の施設を活かしつつ、共用の水回りやLDKを設け、外部と繋がるゆったりとしたくつろぎ空間が、心地よさを提供しています。2階のジムスペースは、鏡の表現も良く描かれており、運動を楽しむための空間となっています。住まいとして落ち着いたインテリアが安定感を与える一方、1階と2階で異なる雰囲気を持たせる工夫があっても良かったと感じました。

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奨励賞開放感のあるシェアハウス(Bアイデア・デザイン部門)

新田 夢奈(岐阜県立瑞浪高等学校)

共有スペースを明るく開放的にするために、物理的に壁や建具を取り払い、吹き抜けをつくること、さらに自然光が取り入れられ、外との繋がりを感じられる素材であるガラスを多用することは単純明快であり、コンセプトに沿っていると感じました。床はあえて異素材のものを組み合わせることでそれぞれ居心地の良い場所を見つけられるのもよいと思います。また、なんといっても大胆で力強く表現されたパースは目をひきました。マーカーでの着彩も迫力があります。リフォーム前の平面的と同様にリフォーム後の平面計画もあるとより、伝わりやすくなると思います。 12新田夢奈様_CMYK.jpg

学校賞:三重県立伊勢工業高等学校

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第16回 わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2024 ご応募ありがとうございました!

第16回 わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2024 に今年もご応募をいただき、ありがとうございました。

ポスターはこちら

今回は「シェアハウスのリフォーム」をテーマに募集しました。現実味のあるリフォーム案から、ユニークな提案、表現力の高い作品、様々な提案が揃いました。

厳正なる審査を行い、10月12日に本学にて入賞作品の表彰式を行う予定をしております。審査が終わりましたらご案内を致します。

多数のご応募、ありがとうございました!    

「第16回わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト2024」募集要項

今年度も《わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト》を開催致します。

「シェアハウスのリフォーム」提案を募集します

ポスターはこちら

 応募期間 2024年8月1日(木)~8月31日(土)(当日消印有効)

 募集内容 

近年広がりを見せているシェアハウス。シェアハウス全体、あるいはシェアハウスの中の空間の一部を対象として選び、リフォーム前(写真あるいは図)と、あなたの考えるリフォーム後の構想図(平面図(寸法記入不要)・立面図・透視図など)を描いて送ってください。

文系の方もどしどしご応募ください。

 応募資格 

高校生・短期大学生(専門・専攻は問いません。)

 作品応募規定

 次の二つの部門があります。いずれかを選んで応募してください。

A:技術・デザイン部門

提題された町屋(本学HP掲載)を対象にして、シェアハウスへのリフォーム提案を募集します。

B:アイディア・デザイン部門

シェアハウス全体、あるいはシェアハウスの中の共用部分の一部をリフォーム提案してください。(例えばリビングやキッチンスペース等)住まい手の設定は自由。(但し対象となる住人条件を明記すること、例)20~30代女性)楽しい発想や斬新な図面表現なども評価します。(リフォーム前の状態を図面や写真等で示してください。)

A・B部門共通事項

(1)用紙:A3以上Aサイズまで1枚、紙質自由(ケント紙が望ましい。)

(2)氏名・学校名・学年などを「出品票」(本学HPに掲載)に記入し、提出作品の裏面右下に糊付けして、下記郵送先まで送付してください。

※ 作品が1点の場合でも、「出品者一覧票」(本学HPに掲載)をお付けください。

 郵送先 

〒501-2592 岐阜市太郎丸80番地 

岐阜女子大学家政学部生活科学科住居学専攻

「わたしの住まいリフォーム・デザイン案コンテスト」係

TEL:058-229-2211(代) 

 審査員 

岐阜県内建築系教員・岐阜県建築士会会員・本学教員プロジェクトチーム

 表彰及び賞 

2024年1012日(土)に表彰式をおこないます。(予定)

特 選   1点 賞状、副賞(図書券5万円)(A,B部門共通)

建築士会賞 1点 賞状、副賞(図書券3万円)(A,B部門共通)

優秀賞   3点 賞状、副賞(図書券1万円)

奨励賞   若干 賞状、副賞(図書券3千円)

学校賞(優秀作品を多数寄せて下さった高校)、副賞(図書券2万円)

入賞作品は岐阜女子大学家政学部生活科学科住居学専攻HPに掲載し、20252月末まで大学内にて展示予定

 その他

大学HPにて、出品票、出品者一覧票、課題図面がダウンロードできます。(末尾参照)

※ 作品の使用権は主催者に帰属し、応募作品は返却いたしません。

※ 内容に対する質疑応答はいたしません。

※ 規定以外の事項に関しては応募者の自由裁量とします。

◆A:技術・デザイン部門の提題

付図のような間口2.5間の町家を対象にして、リフォームを考えてください。

 設計条件

(1)第一種住居地域、建ぺい率60%、容積率200%とする。

(2)建物の出入り口は北西に面しており、前面の道路は幅員6mで北東から南西に通り抜けている。両側および道路をはさんで北西側も類似の住宅がつらなっている。

(3)外構計画は自由とする。

(4)住まい手の人数や年齢、職業等の設定は自由とする。ただし、どのような人をターゲットにしたシェアハウスなのかを、図面内に明記すること。

 その他

(1)壁量は壁量計算で確認する必要はない。

(2)構造部材(梁、柱など)を露出する場合の部材の姿は、応募者に任せられる。

(3)現状の屋根は4寸勾配、瓦葺き。

(4)その他、図に規定されている以外の内容については、応募者の自由裁量とする。

※ なお、この提題の町家は、本学の学生が1981年に調査した「旧中川原町並調査報告」(岐阜市教育委員会刊)に載っているものを再構成したものです。

・第15回入賞作品はこちら

第16回_募集要項_リフォーム・デザイン案コンテスト2024.pdf

出品票・出品者一覧票.pdf 出品票・出品者一覧票.docx

A部門技術・デザイン部門の課題

2024図面.pdf