健康栄養学科

生理機能

食品の安全を守る

 健康栄養学科では栄養学はもとより食品に関わるさまざまなことを学びます。

 その中で、臼井研究室では食品の安全に関する研究を行っています。 今年の卒業研究のひとつを紹介します。「ジェットタオル」の研究です。

 手洗い後にジェットタオルで手を乾かすと、時々顔に水滴がかかります。そこで、ジェットタオルを使うとき、①水滴はどれほど飛ぶのか、②手に付着していた細菌が水滴と一緒に飛ばないのか などについて4年生の学生たちが研究しました。

 大学構内にあるジェットタオルを使用し実験をしました。小さな、そして簡単な構造のジェットタオルです。実験は、ジェットタオルの中に手を入れて稼働させながら、同時に色絵具を噴霧しその飛散範囲を調べました。その結果、ジェットタオル周辺の上下左右およそ1mに絵の具が飛び散りました。また、顔や服にも絵の具が付着しました。実はこの実験、かなり大掛かりで準備が大変でした。壁に模造紙を張り、その上で不織布製のつなぎの服、フェイスマスクを装着して実験をしました。

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 次に、どのような細菌が飛散しているのかを推定するため、ジェットタオル自体に付着している細菌の検査をしました。その結果、黄色ブドウ球菌がジェットタオルの機械から検出されました。黄色ブドウ球菌は人の手指に生息し、食中毒を起こす菌です。手に生息していた黄色ブドウ球菌が飛び散って、ジェットタオルを汚染したと推定されます。前述の実験と考え合わせると、少なくとも周辺およそ1mに黄色ブドウ球菌が飛び散っている可能性があるということになります。

 これらの実験結果をもとに、厨房内ではジェットタオルを使用しない方がよいと結論しました。もちろん、ジェットタオルの構造によって実験結果は変わる可能性があります。

 研究というと「難しい」と思いがちですが、自分が関心を持つことをどうしたら明らかにできるかを考える、とても楽しい作業なのです。(臼井研究室)

今年はこんな研究をしました

 髙田研究室では、岐阜県畜産研究所との官学連携で、牛肉の官能評価を実施しています。牛肉の美味しさは、外観、旨味、食感、香りから構成されており、これらの要素は、肉の色・アミノ酸・脂肪交雑(霜降り)・脂肪酸などであり、これまでに、「牛肉の食味とオレイン酸含量」「牛肉の食味とパルミトレイン酸含量」などについて研究してきました。今年は、「牛肉の色沢と食味」の関係の官能評価と、今後導入が検討されている和牛の一種である日本短角種の牛肉の嗜好に係る官能試験も実施しました。

 牛肉ばかりでなく、6次産業化へも目を向け、カルシウムやビタミンCが豊富な「つるむらさき」で6次産業を実践している地域の農家レストラン「つるや」さんから「つるむらさき」の提供を頂き、一緒にその利用方法について研究しました。産学の連携強化にも今後は力を入れて行こうと考えています。(髙田研究室)

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実験は試行錯誤の繰り返し。失敗してもヘコみません!!

 伊佐研究室では、調理済み食品や加工食品中のビタミン含量の測定方法を検討しています。このテーマは昨年度からの継続ですが、昨年度の問題点を解決するために、現在どのような方法で測定するのが良いか、試行錯誤しています。

 食品中のビタミン測定法は、微生物を用いたバイオアッセイ法が一般的です。この方法は少しの測定操作の違いが実験誤差につながるため、毎回の測定精度が問われますが、何度も繰り返し練習し、現在では誤差範囲が少なく測定できるようになりました。

 現在は、調理済みの食品を処理して、ビタミンの測定を進めています。昨年度の問題点が少しでも改善できるように、日々邁進しています。(伊佐研究室)

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美味しさを科学する-飛騨牛・地域特産品と共に-

 岐阜県といえば「飛騨牛」です。

 私たちの研究室では、岐阜県畜産研究所との官学連携で、牛肉の官能評価を実施しています。

 牛肉の美味しさは、外観、旨味、食感、香りから構成されており、これらの要素は、肉の色・アミノ酸・脂肪交雑(霜降り)・脂肪酸などであり、これまでに、「牛肉の食味とオレイン酸含量」「牛肉の食味とパルミトレイン酸含量」などについて研究してきました。

 さらに、「牛肉の食味と肉の色」の関係などについても調べて行くこととしています。

 また、6次産業化へも目を向け、カルシウムやビタミンCが豊富な「つるむらさき」で、6次産業を実践している地域の方とも一緒にその利用方法について研究していく予定です。(髙田研究室)

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食品中にも細菌がいる!?

 私たちの研究室は、いろいろな食品の微生物汚染の実態を調査しています。そんな研究の中からびっくりするような話題をひとつ。

 なんと、小麦粉の中にも細菌が生存しています。

 小麦粉はほとんど水分を含んでいないので、細菌は増殖することができません。だから、常温で保存しても小麦粉が腐ることはありません。

 しかし、そんな厳しい環境の中でも、細菌が特殊な状態(「芽胞」といいます)で休眠していることが、昨年度の卒業研究でわかりました。また、汚染は土壌由来である可能性を明らかにしました。

 細菌は芽胞状態になると少々の加熱では死ななくなります。100℃で数時間の加熱に耐える菌もいます。そのため、今年度は、小麦粉を使ったお菓子やケーキなどを対象に、芽胞菌がどの程度生き残っているかの調査を行うこととしています。

 食品の微生物汚染そしてその防止法を明らかにすることを目標に、学生たちと一緒に研究を行っています。

 わからないことを少しずつ明らかにしてゆく。研究って楽しいものです。(臼井研究室)

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