健康栄養学科

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植物の秘めたる力

 植物は、動物と比べるととても多様な化合物を作ります。こうした化合物の中には、人にとってクスリとなることがあり、このような植物を薬草や漢方と呼び役立てられています。その起源は古く、紀元前4,000年も昔から、人々は植物をクスリとして利用していたそうです。

 もともと植物は、このような多様な化合物を人に役立つようにと作っているわけではありません。植物が生きていくために、害虫や病原菌から身を守るための抗菌性化合物として作っているものです。そのため、量や摂取の仕方を間違えると、人にとっても害となります。

 例えば、「モルヒネ」。これはもともと植物から見つかったクスリです。このクスリは、痛みを伝える神経のはたらきを抑える鎮痛薬として利用されています。しかし、血圧低下や呼吸抑制といった毒性作用も知られています。

 ウイルス感染予防への効果が検証されている化合物もあります。

 今話題のコロナウイルス。一般的な風邪の症状をもたらすコロナウイルスもありますが、SARSや今回の新型ウイルス(COVID-19)といいた重篤な症状を引き起こすコロナウイルスもいます。新しく見つかったCOVID-19への効果はまだ検証されていませんが、サイコ (柴胡)と呼ばれる植物の根に多く含まれる「サイコサポニン」という化合物が、コロナウイルス感染を抑制する効果があることが実験的に調べられています(参考文献)。人への実際の効果はまだ十分には検証されていませんが、植物の力は侮れないものです。

 なかなか自由に外出できないこの時期に、植物は心の癒やしにもなりそうです。お部屋にひとついかがでしょうか。

参考文献:An alternative approach to minimize the risk of coronavirus (Covid-19) and similar infections. European Review for Medical and Pharmacological Sciences 2020; 24: 4030-4034