健康栄養学科

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味覚の不思議

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、最近その自覚症状の一つに味覚と嗅覚の喪失があることが報道されています。

 髙田研究室では、5年前から飛騨牛の味覚に関する研究をしています。特殊感覚の1つである味覚は非常に微妙なもので、同じ特殊感覚の1つである嗅覚とも密接な関係があります。

 皆さんが、ものを食べる時、鼻をつまんで食べた時の味と、普通に食べた時の味では全く異なることを感じられたことはないでしょうか。

 校内閉鎖が続く中、新型コロナの感染で、味覚や嗅覚が喪失するといった報道を、授業でも習う味覚や嗅覚の機序と重ねて考え合わせると色々なことが考えられてきます。このウイルス感染によって起こるこれらの症状は何故起こるのでしょう。

教員より

 味覚は一般に、舌から咽頭にかけて存在する味蕾と呼ばれるところで感じ取れます。また、嗅覚は上鼻道にある嗅部で感じ取られています。

 味覚喪失に関しての詳しい報告は見つかりませんが、3月28日に公表された論文では、「鼻の奥にある特定の細胞には新型コロナが体内侵入で標的とする明確な形状のタンパク質があることが判明した」とあります。嗅覚が存在する部分の粘膜がウイルスによって何らかの障害を受け、嗅覚機能に異常が起こるからとも考えられます。

 味覚と嗅覚は密接な関係があり、風味とは味覚と嗅覚の両方があってこそ感じられるものですから、嗅覚機能の異常が味覚にも大きくかかわっていると考えられるのではないでしょうか。

 外出自粛と学校閉鎖が続く中、生物に興味のある方は、こういった機会に色々と考えたり調べたりしてみるのも良いのではないでしょうか?

 いずれにしても、感染が成り立つには①病原体があること。②病原体に感染する個体があること。③病原体が個体に到達する経路があることです。

 私たちにできるのは③を遮断することです。3密をさけ、手洗い、消毒、マスクの着用など万全を期す必要があるのは確かなことです。