健康栄養学科

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管理栄養士へのステップ ~4年生 卒業研究 臼井研究室~

卒業研究の楽しみ

 臼井研究室では、今、四つの卒業研究が進行しています。ここでは、そのうちの一つである「調理器具類の洗浄と消毒の除菌効果の比較の研究」について紹介します。

 私たちは、調理器具-例えばまな板を使い終わった後、中性洗剤で洗浄しその上で台所用の消毒剤を使って消毒します。では、細菌の除去という面では「洗浄」と「消毒」のどちらの方が効果的なのでしょうか。どちらだと思いますか?

 授業の中で質問すると、ほとんどの学生が「消毒」と答えます。「消毒」に対する絶大な信頼があるのだと思います。 

 以前の研究で、まな板を使って「洗浄」の方が「消毒」よりはるかに大きい除菌効果を示すことを明らかにしました。その時は、ひき肉を使ってまな板を汚染させたため、ひき肉の脂質で消毒剤が浸透しなかったのではないかという疑問が残りました。

 そこで、今回はタンパク質汚れ、炭水化物汚れではどうかという研究を行っています。

 現時点での結果では、どうやらタンパク質汚れや炭水化物汚れでは洗浄と消毒の効果はほぼ同じのようです。やはり、脂質汚れでは脂質に消毒剤がはじかれ、浸透しなかったようです。

 ところで、この実験では、タンパク質汚れや炭水化物汚れをどのようにつくるのかで、試行錯誤を繰り返しました。いろいろ試したのですが、なかなか適当なものが見つからなくてうまくいきませんでした。結局、タンパク質汚れは卵白、炭水化物汚れは水溶き片栗粉を使い、どちらも加熱・冷却したのち細菌で汚染することにしました。

 卒業研究は、授業としての実験や実習とは異なり、どのような方法で研究を行うのかをまず検討しなければなりません。いろいろ予備実験を行いますが、失敗の連続と言ってもいい状態が続きます。ああでもない、こうでもないと話しあい、その失敗を乗り越え研究方法を確立します。研究方法が決まれば、それはもう90%ぐらい研究が終了したと同然です。

 研究に失敗はつきものです。でも、それを乗り越えることができたとき、学生の皆さんと一緒に喜びをわかちあうことができます。「できた!」と。

 ところで汚れは、現実には、タンパク質汚れ、炭水化物汚れ、脂質汚れと分類できるわけではありません。タンパク質や炭水化物、脂質が交じり合っているのが普通です。ということは、「消毒」に頼りすぎるのではなく、いつでも「洗浄」をしっかりした後、「消毒」することが大切だということです。(臼井研究室)