地域文化研究所

上矢作町歌舞伎 東濃地方 恵那市東濃地方

連絡先事務所・上演場 上矢作公民館TEL0573-47-2101
住所恵那市上矢作町漆原44-2上映時間隔年10月第2日曜

アクセス方法

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《 上矢作公民館 》
明知鉄道岩村駅から市営バス30分

解説

(1)由来と保存会の結成
 上矢作地方も、江戸時代から、恵那郡一帯がそうであったように、地芝居の盛んな土地であった。江戸末期から明治時代にかけて、漆原・横道・小笹原・飯田洞・本郷・下に農村舞台が建造され、買芝居や地元民出演芝居が織り成して、上演されてきた。戦前には、大正時代から本郷に市川(堀)弁升という振付師がいて、地元各地の芝居の指導をしていた。戦後、地芝居は復活したが、昭和30年代衰微した。ところが、幸いなことに、山岡町の松本団匠師が指導する日本舞踊の松扇会上矢作支部会員のメンバ-が歌舞伎上演を続け、それを柱にして、昭和50年代半ば頃、町の歌舞伎保存会が結成された。それが10年ほど続いたが休止し、平成13年10月、堀治守が中心になり、松扇会に働きかけて、再発足したのが今日の保存会である。
(2)芸風の特色
 松本団升を師匠とする松扇会の会員が中心となっていることから、役者の半数以上が女性であり、師匠の芸風の荒事芝居である。
(3)稽古場・上演場
 上地区の本郷には、大正期上村座が造られ、芝居や映画の上演場となってきたが、昭和30年代の衰微期に廃絶した。跡地は今上矢作病院となっている。下地区では、熊野神社境内に昭和27年古くからあった舞台を取り壊して、熊野会館(宮本座、回り舞台付)が造られ、買芝居や地芝居の上演場となってきた。平成2年、漆原に町中央公民館が完成すると、歌舞伎の稽古場・上演場となった。
(4)伝統文化の受け継ぎ
 現在は、会員16名前後であるが、次第に高齢化し、若い人の入会を期待している。安藤博一会長(70歳)は、「親や先輩たちが情熱を注いで伝承してきた歌舞伎を、なんとか将来に向けて伝承したいが、悩みは、振付・三味線・太夫である」と語っている。小・中学校で郷土の伝統芸能ということで奨励して、子どもたちが地芝居を体験し、地芝居上演の楽しさを味わい、伝統芸能を伝承することの意義を感じとって貰えるように働きかけたいと語っている。

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休憩時の桟敷風景 上矢作公民館