地域文化研究所

伏屋の獅子芝居 岐阜・西濃地方 岐南町岐阜・西濃地方

連絡先岐南町歴史民俗資料館・町図書館TEL058-247-7737
住所岐南町平成7-38上映時間岐阜県獅子芝居公演会時ほか

アクセス方法

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岐阜バス岐南町線伏屋下車10分
JR岐阜駅よりタクシー15分

解説

(1)由来
 女の衣裳を着た獅子が主役を演じて芝居(狂言)をする嫁獅子(獅子芝居)は、寛政年間(1789~1801)、三河の岩蔵・岩治・作蔵の3人が原型を考え出したという。その後、天保年間(1830~44)、尾張の市川竜介が三河の3人に習い各地に広げた。明治に入って、伏屋の東五郎が、竜介の芸風を習得して、地元や各地で上演して回った。昭和時代では、東五郎に教えられたという杉江米蔵・宮川森市・同光義の三人が、県内を巡行するなど活躍した。昭和30年代一時休止していたが、昭和47年10月保存会が設立され、同63年8月には岐阜県の重要無形民俗文化財の指定を受けた。

(2)芸の特色
 伏屋の嫁獅子の衣裳は黒紋付で、頭には耳が立ち、白髪がない。白山神社の祭礼に奉納されるが、先ず、至芸と呼ばれる音楽を奏でながら地区内を巡る道行を行う。獅子舞会館で行われる獅子芝居では、謡いは、歌舞伎の手法を採り入れ、義太夫が語り、笛・大小太鼓・鉦による囃子が入り、現在、傾城阿波鳴門等が演じられる。傾城阿波鳴門は、お弓役を獅子が、おつる役は少女が演じ、義太夫が語る浄瑠璃につれ演じる。2人の台詞は、女義太夫が情感を込めて語る。テンポのやや早い囃子にのって演じるお弓役の獅子のしぐさが面白く、観客は泣きつ笑いつ引き込まれていく。

(3)伏屋獅子舞会館と伝承
 平成17年建造の伏屋獅子舞会館は、道具・衣裳の保存所・稽古場であり、公演場。振付は、主に長老の杉江利雄・伏屋徳雄が当り、三味線渡辺信義、義太夫杉江利雄、語り渡辺ちせ子、謡い長尾芳枝、太鼓は伏屋徳雄・伏屋久一・太田友和、顔師杉江利雄、舞台装置杉江美晴、笛伏屋節雄が担い、獅子は朝倉修一が舞う。なお、この役割は芸題によって代わることがある。
 衣裳・道具・囃子・三味線・義太夫・振付指導等全て自前でやり、後継者育成をしていくことに努めており、それを伝承の要として取り組んでいる。毎年岐阜県獅子芝居公演が開催されるので、それを目指して稽古している。その中で子役や楽器演奏面の後継者不足が課題となっている。

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稽古風景 祭礼日奉納前の道行