教員情報

学部・学科文化創造学部 文化創造学科(Faculty of Cultural Development)
職種准教授 【博士】
氏名(カナ)イリエ サヤカ
氏名(漢字)入江 さやか

研究分野(field of study)

日本語学(特に音韻・表記・語彙)

研究テーマ(Research theme)

音素の分布、及び配列から日本語の特徴を捉える

研究実績一覧(Research Publications)

論文・資料作品等(Papers Material works)

表題 単・
共著
刊行 概要(共著者名) 関連授業科目
「言語統計学入門(5)比率に差があるのかないのか」

An Introduction to Statistics in Linguistics (5) 
Whether there is a difference in the proportion
『計量国語学』, 2022, pp351-361 言語を量的に分析する際は,コーパス調査やアンケート調査を行い,語・品詞・語種・字種・共起語,「はい」と答えた人数,など様々な調査項目の頻度から比率を求め,その差を用いて違いを述べることが多い.本稿では,いくつかの具体例を計算式と共に示しながら,比率に差があるのかないのかについて注意すべき点について述べる.統計的な説明は最小限にとどめ,四則演算と平方根の知識で理解できる計算式で示す.  
「方言録音文字化資料における拍bigramから見た方言分類ー 岐阜・愛知方言の所属は東か西かー」

Dialect Classification of Transcribed Data Based on Mora Bigrams : Are Gifu and Aichi Dialects Classified into the Eastern Type or the Western Type?
『計量国語学』32(1),pp.1-18,共著:金明哲 日本の方言は,これまで多くの先行研究によって,語彙・文法・音韻などの違いから,種々に分類されてきた。構造言語学的な体系的基準による分析は当然行われるべきことであるが,現実の言語行動において,実際に使用された頻度を考慮した分類も重要であると考える。そこで,本研究では,自然談話における拍のbigramの頻度データを使用し,近隣結合法を用いた系統樹を作成して,各地方言の分類を行った。その結果,北アルプスを境として,東西に分かれ,岐阜と愛知は共に西に分類できた。

Several studies have classified Japanese dialects into multiple categories based on various attributes such as vocabulary, grammar, and phonology. Although analyses based on structural linguistics systematic criteria have been conducted, it would be worthwhile to perform a classification that incorporates the frequency of actual language usage in real-life activities. Hence, in this study, the frequency of mora bigrams occurring in natural discourse was employed for creating a phylogenetic tree by applying the neighbor joining method, and each dialect was thereby classified. Consequently, the dialects were classified as eastern and western, with the northern Alps being considered as the segregating border between east and west regions. Both Gifu and Aichi dialects were classified as western.
卒業研究
「コーパスにおけるモーラ情報を用いた日本の方言分類分析」, 『文学と言語コーパスのマイニング』, 岩波書店,2021, 195-216: 金明哲・中村靖子編 『国立国語研究所資料集13 全国方言談話データベース 日本のふるさとことば集成 』全20巻(国立国語研究所,2001-2008)に収録されている録音文字化資料から,モーラunigramを抽出し,その頻度を求め,計量的手法を用いて,日本の各地方言を分類する。日本語方言学において,繰り返し議論された東西境界線の問題について,構造言語学的な体系的基準による分類ではなく,自然談話から得られるモーラの頻度を用いた計量的分析により,再分類を行う。  
『文学と言語コーパスのマイニング』 岩波書店,2021年6月3日,pp.195-216:金明哲・中村靖子編 モーラとは,音韻論的単位であり,一つ一つの拍を同じ長さに発音されようとするリズムの単位である。本章では,『国立国語研究所資料集13 全国方言談話データベース 日本のふるさとことば集成 』全20巻に収録されている録音文字化資料から,モーラunigramを抽出し,その頻度を求め,計量的手法を用いて,日本の各地方言を分類する。日本語方言学において,繰り返し議論された東西境界線の問題について,自然談話から得られるモーラの頻度を用いた計量的分析により,再分類を行う。 日本語学研究
音声学
卒業研究
「『蜻蛉日記』における『聞こゆ』『申す』の意味・用法ー『とはずがたり』との比較ー」

The meaning and usage of the verb 'kikoyu' and 'mosu' in Kagero Nikki : comparison with Towazugatari
単著

Single author
『同志社日本語研究』20, pp.19-30 本稿では,『蜻蛉日記』における本動詞「聞こゆ」「申す」の意味・用法について,分類,記述をし,事例数を挙げる。『蜻蛉日記』において,「聞こゆ」は110例見られ,「言ふ」の謙譲語「申し上げる」の意味・用法が最も多く,76例である。「申す」は11例のみの使用である。『とはずがたり』においては,「聞こゆ」は55例,「申す」は354例である。「申し上げる」という意味・用法は,「申す」では240例見られるのに対して,「聞こゆ」では,ほとんど見られない。 日本語学研究
卒業研究
「『中央公論』101年間語彙表」

Words used in the magazine "Chūō-Kōron" during the 20th century
共著

Co-author
『同志社日本語研究』別刊第2号,410p 宮島達夫『雑誌用語の変遷』(1987年,国立国語研究所) が,近現代における日本語語彙の変遷を追究して,1906年から1976年までの10年ごとに,雑誌『中央公論』の各年1~12月号の全体から延べ1万語を抽出して整理したのを引き継ぎ,1986年・1996年・2006年を追加して20世紀を覆う101年間語彙表を提示する。表記の一覧も埋め込む。異なり30243語・延べ11万語であり,語種・品詞・表記の観点からの基礎的集計を前書きに添える。目次(ページ付なし), 前書き: p.i-viii, 語彙表凡例: p.ix-x
(石井久雄)
日本語学研究
卒業研究
日本語学特講
「『理事功程』における外国地名表記―新島草稿と比較して―」

Notation of Foreign Place Names in "Riji kotei" : Comparison with the Neesima Draft
単著

Single author
『人文学』第195号,pp.293-318 日本の教育の近代化において,重要な役割を果たした岩倉使節と,その復命報告書『理事功程』であるが,『理事功程』についての研究はそれほど多くなく,語学的な観点からの研究はほとんどなされていない。そこで,本稿では,『理事功程』全15巻のうち,巻之八から巻之十一を占める「独乙国」編を資料として,外国地名表記を整理, 記述する。 日本語学研究
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「新島襄草稿『理事功程』における外国地名表記」

Notation of Foreign Place Names in the Draft Written by Joe Neesima for "Riji kotei"
単著

Single author
『文化学年報』第64輯,pp.25-40 田中不二麿は明治4年10月に文部大丞となっていて,使節団に文部理事官として随行した。その田中の通訳兼秘書として,新島襄は,ヨーロッパの教育視察に同行することとなる。新島は田中のために,報告書を作成することになるが,この報告書は,田中文部理事官の復命報告書である『理事功程』の主要な部分の草稿となる。
本稿では,『理事功程』のうち,「独乙国」編において,採用された新島の草稿,「独乙国公学校の規則」,「普魯士ノ公学校(小中共)の規則」を資料として,外国地名表記を整理する。
日本語学研究
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「『とはずがたり』における『聞こゆ』の意味・用法ー『言ふ』『聞こゆ』『申す』『奏す』ー」

The meaning and usage of the verb 'kikoyu' in Towazugatari
単著

Single author
『同志社日本語研究』18, pp.18-31 本稿は,『とはずがたり』における「聞こゆ」の全用例について,意味・用法ごとに分類,記述する。『とはずがたり』において,「聞こゆ」は本動詞で55例見られるが,最も多い意味・用法は,「自然と耳に入ってくる,聞こえる」という意味で21例である。また,「言ふ」「申す」「聞こゆ」「奏す」において,共通してみられる「言葉を発する」という意味・用法について,それらの用例数を比較する。 日本語学研究
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「『とはずがたり』における『申す』の意味・用法」

The meaning and usage of the verb 'môsu' in Towazugatari
単著

Single author
『同志社国文学』81, pp.454-442 本稿は,鎌倉時代成立の『とはずがたり』における「申す」の意味・用法について, 分類,記述をし,その意味・用法ごとの用例数を挙げることを目的とする。入江(2013)の「言ふ」との比較を通して,『とはずがたり』における「申す」 の意味・用法についてその特徴を述べる。 日本語学研究
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「明治期における外国地名表記―新島襄の草稿を資料として―」

Notation of Foreign Place Names in Meiji Era : Through Joe Neesima's Manuscripts
単著

Single author
『立命館大学言語文化研究』25-3,pp.195-208 本稿は,新島襄の草稿を資料として,明治期の一個人が外国地名をどのように表記していたのかを整理し,記述することを目的とする。明治期は,現存する資料も多いため,研究資料として何を選択すべきか,考えるべき点も多い。本稿の調査結果を通じて,草稿の資料としての性格,および,明治期における表記法の一側面を述べたい。 日本語学研究
日本語史
卒業研究
日本語学特講
『豊富な例文で学ぶ新中級日本語 改訂版』第2版 共著

Co-author
ふくろう出版,pp.157 カバーする範囲の広さゆえ「中級」レベルにはより効率的な学習方法が求められる。本文の内容理解と共に語彙・文型表現も並行して導入できるよう,短めな本文にバランスのよい文型表現をもりこむよう配慮した。本文,ルビ付き本文の後に重要語句の語彙例文,副詞などの表現練習,内容に関する確認問題,さらに作文練習や会話練習といった発展学習にも対応している。語彙・漢字は日本語能力試験の旧2級レベルを中心に,適宜旧1級レベルも含めた。
(松本秀輔,米澤昌子)
卒業研究
「『とはずがたり』における『言ふ』の意味・用法」

The meaning and usage of the verb 'iu' in Towazugatari
単著

Single author
『同志社国文学』78,pp.156-14 「言ふ」は,「『これ着よ』と言ふ」のように声を出して語や文を発したり,音声,あ るいは文字で書かれた文章によって,考えや事柄を表明したりするという具体的な動作 性を示す用法と同時に,「二条といふ名」の「言ふ」のように,実際に話すという具体 的な動作性が弱まった形式的な用法も古くから持つ。本稿は,鎌倉時代成立の『とはずがたり』における「言ふ」の意味・用法について, 分類,記述をし,その意味・用法ごとの用例数を挙げることを目的とする。 日本語学研究
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「王昭君の寿命を延ばした息子」他,『翻訳 韓国口碑文学大系1』日韓比較文学研究会編 共著

Co-author
金壽堂出版,342頁 韓国の多様な説話を知るための,古代王朝の建国神話や英雄たちの活躍談,地名の由来話,始祖伝説,年中行事の由来話,成語の由来話,民謡の由来話,笑い話などを幅広く収録している。
(岡山善一郎・廣田收編、伊藤愛美・金恩愛・高永珍・小林純子・清水正樹・趙智英 訳)
卒業研究
「日本語の音素の分布・配列に関する歴史的研究」

A historical study of Japanese phonemic distribution and ordering
単著

Single author
『同志社日本語研究』別刊第1号,pp.210 本研究は,特に音素分布および音素配列の定量的特徴に注目して,日本語の音韻の歴史を捉えようとするものである。第1章で論文の目的と背景について述べ,第2章で,各時代における音韻体系について整理し,第3章以下,上代から順に,中古,中世,現代の音韻構造について述べ,第7章で,日本語の音韻構造の歴史としてまとめ,結論と今後の課題を述べる。 日本語学研究
音声学
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「『日葡辞書』における漢語の音韻構造」 単著

Single author
『国語語彙史の研究』(国語語彙史研究会)和泉書院,32号,pp.243-255 本稿では,『日葡辞書』を資料とし,漢語の音素分布を調べ,その音韻的特徴を明らかにする。『日葡辞書』は,日本イエズス会によって1603年に本篇,翌年に補遺の部が加えられた,日本語とポルトガル語の対訳辞書である。当時の日本語を豊富に収め,中世国語資料として非常に価値の高い文献である。
(乾善彦他24名)
日本語史
卒業研究
日本語学特講
「『中央公論』101年の高頻度語彙および増減傾向」

High Frequency words of Chuo-Koron in the last 101 years
単著

Single author
『同志社日本語研究』第16号,pp.14-25 本稿は、国立国語研究所(1987)『雑誌用語の変遷』のあとを継ぐものである。『中央公論』1906年から2006年までの101年間における高頻度語彙、語の増減傾向、および出現年代について数値で示す。 日本語学研究
卒業研究
日本語学特講
「『中央公論』101年の語彙」

Research on vocabulary of "Chūo-Kōron" in the last 101 years
単著

Single author
『同大語彙研究』13,pp.9-14 本調査は,国立国語研究所の調査である『雑誌用語の変遷』のあとを継ぐものである。『中央公論』1906年から2006年までの101年間で,日本語がどのような変化をたどったのか,語種別の異なり語数,のべ語数,年度間の類似度などを中心に述べた。のべ語数,異なり語数ともに,外来語,混種語は増加傾向にあり,和語は減少傾向が見られるといえる。類似度は,近くの年とは高く,離れた年とは,低くなると予想される。

This study succeed to the investigation reported by " NLRI Report 89 : Changes in the Language of a Magazine", we examined the words used by the magazine "Chūo-Kōron" in the last 101 years from 1906 to 2006, especially the number of different words and running words by component elements, the similarity and commonality of vocabularies.
日本語学研究
卒業研究
日本語学特講
『日本語を書く楽しみ』 共著

Co-author
西日本法規出版(第3課「会話文」pp.55-72,第8課「レジュメ」pp.137-152 執筆) 本書で,インタビュー記事,エッセイ,会話文など,レポート・論文以外の文章を楽しみながら書くことで,さまざまな日本語を自分のものにできる。また,この本は,一般的な教科書の使い方以外に,進歩の過程,あるいは問題点に学習者自身が気づき,それに教員が助言しながら進めていく,「ポートフォリオ学習」という方法でも学べるようになっている。
(神田靖子,山根智恵(編著),佐尾ちとせ,米澤昌子(著))
卒業研究
「コーパスを用いた仮定形音融合使用に関する計量的研究」

A Quantitative Study Using Corpora on the Use of Contractions of Conditional Forms
単著

Single author
『国立国語研究所論集』18,pp.1-16,金明哲 音融合とは,二つ以上の単位が音の転訛などによって一つになったもので,話し言葉によく見られる特徴である。本研究では,『名大会話コーパス(名大C)』『日本語話し言葉コーパス(CSJ)』『日本語日常会話コーパスモニター公開版(CEJC)』を用いて,仮定形における音融合の使用状況について調査し,場面別・性別・年代別に音融合の使用状況にどのような差が見られるかについて,計量的に明らかにする。

Contractions, in which two or more words are shortened by omitting or combining some sounds, are frequently used in spoken language. In this study, through the quantitative analysis of contractions of conditional forms using corpora such as the Nagoya University Conversation Corpus, Corpus of Spontaneous Japanese (CSJ), and the Corpus of Everyday Japanese Conversation, we clarify the differences in the use of contractions according to scene, gender, or generation.
音声学
国語学概論
「方言録音文字化資料における拍bigramから見た方言分類ー 岐阜・愛知方言の所属は東か西かー」

Dialect Classification of Transcribed Data Based on Mora Bigrams : Are Gifu and Aichi Dialects Classified into the Eastern Type or the Western Type?
単著

Single author
『計量国語学』32(1),pp.1-18,金明哲 日本の方言は,これまで多くの先行研究によって,語彙・文法・音韻などの違いから,種々に分類されてきた。構造言語学的な体系的基準による分析は当然行われるべきことであるが,現実の言語行動において,実際に使用された頻度を考慮した分類も重要であると考える。そこで,本研究では,自然談話における拍のbigramの頻度データを使用し,近隣結合法を用いた系統樹を作成して,各地方言の分類を行った。その結果,北アルプスを境として,東西に分かれ,岐阜と愛知は共に西に分類できた。

Several studies have classified Japanese dialects into multiple categories based on various attributes such as vocabulary, grammar, and phonology. Although analyses based on structural linguistics systematic criteria have been conducted, it would be worthwhile to perform a classification that incorporates the frequency of actual language usage in real-life activities. Hence, in this study, the frequency of mora bigrams occurring in natural discourse was employed for creating a phylogenetic tree by applying the neighbor joining method, and each dialect was thereby classified. Consequently, the dialects were classified as eastern and western, with the northern Alps being considered as the segregating border between east and west regions. Both Gifu and Aichi dialects were classified as western.
卒業研究
「『とはずがたり』における『思ひ』の意味・用法ー『蜻蛉日記』と比較してー」

The meaning and usage of the noun 'omohi' in Towazugatari
単著

Single author
『同志社国文学』84, pp.282-270 本稿は,鎌倉時代成立の『とはずがたり』における「思ひ」の意味・用法について, 分類,記述をし,その意味・用法ごとに用例を挙げることを目的とする。『とはずがたり』は,『源氏物語』の影響を強く受けた作品であるが,その『源氏物語』に影響を与えたとされるのが,同じ女流日記文学である『蜻蛉日記』である。平安時代成立の『蜻蛉日記』における「思ひ」の意味・用法についても触れる。 日本語学研究
卒業研究