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国語しか得意じゃないのに、人気アニメ企業に受かった!
就活サポート大作戦 副学長 木俣正剛ゼミの紹介④

スタートは散々な結果でした。
コロナ禍で、苦手なWEB面接ばかり。インターンシップは中止となります。
そして、面接のとき身体がユラユラ揺れたり、謎の手の動きが止まらないのです。

岐阜女子大は、就活を手厚くサポートすることで有名です。元文春編集者の木俣正剛ゼミでは、特に就活指導に力を注いでいます。木俣ゼミのスローガンは「偏差値では負けても、就活では東大にでも勝てる」です。2020年卒業生の奮戦記をご紹介します。

④就活が始まった。しかし、コロナ禍が。

松田さんは、正式な就活が始まる前から、熱心にアニメ制作会社に見学をしたいと手紙を書いていました。正直、忙しい企業で、しかも、アニメファンや声優ファンが殺到して辟易しているであろう会社が、地方の学生の見学を許してくれるとは思っていません。しかし、彼女の好きなどの作品が、どの会社のものかを知るためにも、手紙を書き続ける意味があると思ってしました。そして、たまには「見学はできないけど、就活頑張ってください」、と手紙をくれる会社もありました。

はい。そういう優しい会社の存在が、松田さんの困難な就活への情熱を支えてくれたものなのです。
実際、コロナ禍の就活は予想以上に大変でした。まず彼女が期待していた東京の会社の二週間のインターンシップは直前に緊急事態宣言が出て、中止。アニメ会社より前に、練習のつもりで受けているコミックのある出版社のエントリーシートはいくつか突破できたものの、初めてのWEB面接です。私自身、2020年4月まで、ZOOMのZの字も知らなかったのに、大学が緊急事態宣言を受けて、全部の授業を遠隔に切り替えたため、即席で覚えた程度のスキルです。 デジタルがそんなに得意でない松田さんにはWEB面接の練習が大事でした。なにしろ、話ながら、いつでもユラユラ揺れています。なぜか手も振り上げていて、面接の態度にはならないのです。緊張しているせいもあるでしょう。しかし、面接まであと一日。大体、地方の学生はWEB面接では不利なことがあります。一人暮らしのアパートでは、画面の後ろに服などが掛けられているし、家族と暮らしていると、生活音が響きます。自営業の家族をもつ子は、いつも、工場の音に悩まされています。

そこで、大学がWEB面接専用の部屋を作ってくれました。松田さんと練習を何度したでしょうか。身体の揺れ問題は、PC前ギリギリに身体をつけることで解決しました。揺れようがないくらい前にくっつけてしまうのです。
それでも、約一カ月、面接開始は遅れに遅れ、あっというまに六月に入りました。そのころになると、アニメ会社の面接が次々始まります。困ったのは、会社によって、使う遠隔機器がちがうこと。ZOOMもあれば、GOOGLEMEETもあります。TEAMSにSKYPEのところもありました。その度に二人で、ソフトの使い方から練習です。65歳のにわか遠隔老人と若いのにデジタルスキルがない女性の必死の二人三脚が続きます。

悩みは、機械だけではありません。とにかく、面接にはある程度たどりつくのですが、それ以上に進みません。練習では、ある程度しゃべれているのに、本番になると、あがって何がなんだかわからなくなる......のだそうです。
一度対面面接で大阪にいったときなど、帰って来たら発熱してコロナ疑いがでる始末。(単なる知恵熱だったようです)
緊張に慣れるのは場馴れするしかありません。しかし、もうひとつの難関が、普通の面接の質問ではなく、「あなたに20分あげるから、好きなようにしゃべりなさい」というプレゼンテーション面接でした。
経営学科などプレゼンテーションに慣れている学生はいざ知らず、国語専攻の彼女は、初めての設定にしどろもどろになり、なんにも話ができなかった......と、自信を完全になくしてしまいました。

そのころになると、友人や私のところに彼女の怒りの叫びLINEが届くようになります。「こんなにアニメ会社にゆきたくて、薄給でもいいと言ってるし、徹夜でもいいと言ってるのに、なんでなんだあ。なんで私を採用しない」

完全に逆切れモードです。

ま、落ち込んでしまうよりは、対処はしやすいので、作戦方針の再検討をしました。
➀エントリーシートは通っているものもあるから、まちがいではない。
②面接であがることについては、もっと練習するしかない。
③一人プレゼンテーションには、坂本さんの人生を語ると面白いので、まず20分間話せるだけの自伝を作って、一人で語れるよう練習しよう。
④そして、もうひとつ大事なことを忘れていたとこに気づきました。出版社もそうですが、コンテンツ系は自社のどの作品が好きで、自社に入ったら、どんな作品を作りたいのか、という質問をします。私よりアニメに詳しい松田さんに、その部分をある程度まかせていましたが、もう一度再点検してみました。すると、学生にありがちなまちがいをおかしていたことがわかりました。
小説やコミックにも言えることですが、なんとなくマイナーな、人が知らないものを知っている、好きだというのが格好いいと思う学生が多いのです。そして、かなり渋めの作品を好きだと面接でいう子もかなりいます。 

しかし、私の経験上、そういう学生は採用されていません。やはりメジャーな売れる作品を好きだという感覚が、売れる作品を作れるセンスだと採用側は思うものなのです。松田さんも、何が作りたいか、についてオムニバス作品(短編をいくつか束ねた作品で監督もそれぞれちがう)プランとか、昔のマイナーな小説のアニメ化といったテーマを面接で語っていたようです。

先生「松田さん。オムニバスって、出版社の営業が一番嫌うものなんですが、なぜか知ってますか?」
松田「えー?いろんな監督がいろんな作品をつくって、それを一遍でみれるから、絶対いいじゃないですか?」
先生「見る側にはそういう人もいるかもしれません。作る側は一本でいいのに四本も作って同じ値段でみてもらうのだからコストがかかり儲かりません。それに、客の方も、この監督は好きだけど、この監督は嫌いだから、オカネが四分の一分、損になるのでみないという人もでますよ。」
松田「そうか!まったく気づきませんでした!」

そう、コンテンツを作る人間としての基本を私が教えていなかったのです。そのため、松田さんは回り道をしていました。ごめんなさい。
ここから、自分が考える売れる作品について、もう一度、エントリーしている会社別に、考え直しました。エントリーシートに、彼女の自伝をつけて送ったり、ものすごいポートフォリオも作りました。WEBデザイナーなどは、エントリーシートではなく、ポートフォリオを提出して就活します。同じように、彼女が作ったもの集め、さらに゛最大の売りである、沢山みている、ことがわかるように、これまで見たアニメのリストを全部作ってエントリーシートに添付して送るということも始めました。

すでに夏です。
ありがたいことに、アニメ会社はしょっちゅう募集をしていますから、この段階でも受けるべき会社はたくさんありました。
何よりも松田さんがえらかったのは、絶対にアニメ会社以外を受けようとしなかったことです。へこたれて、泣きそうになっていたときもありました。これは、運動神経がないのに車の免許の試験を受けていて、実技で六回、ペーパーテストで七回落ちるという、とんでもない記録をだしていたせいでもあります。

私には子供がいません。今まで、出版社に就活したいという学生の相談を受けたり、指導したことは何度もあったのですが、ゼミの先生として、学生に責任をもつのは初めてです。ですから、この時期は親ってこんなに大変なんだ、と気持ちが落ち込むほどでした。
なので、毎日遠隔(私は自宅が横浜。彼女は夏休みで実家)で、二人で乗り切ろうなんて話をしながらの就活です。
しかしながら、私はだんだん彼女の未来に確信がもて始めていました。
まずは、彼女が面接慣れしてきたことです。ZOOMで練習したものを録画して、何度も自分で修正したり、一人プレゼンテーションでは、うまくしゃべれない彼女に変わって私が一人プレゼンテーションをしてみせ、それを録画して覚えたり、と゛どんどん就活スキルがついてきているのが実感できます。
あとは誰かが、この子のいいところを、見つけてくれる、その人は、自分の才能や業績に自信があり、それゆえに、小さな完成品より大きなロマンをもった器を採用したい、そう考えているはずだ。そんな人にめぐり会えるかどうか。そういう人はこの業界なら絶対いると、それだけは確信していました。 

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