地域文化研究所

活動紹介

『岐阜県の地芝居ガイドブック』&HPコンテンツ作成(地芝居について)

 ふるさとぎふ再生基金公募事業「隠れた身近なひだ・みのじまん発掘事業」(岐阜県の伝統芸能ー地芝居総合調査・紹介事業)の補助金交付を受け、平成19年度から実施していた、岐阜県の地芝居ガイドブック作成プロジェクトが完了、『岐阜県の地芝居ガイドブック』が完成しました。

また、併せてHP内に「地芝居について」のコンテンツを作成しました。「地芝居保存会一覧」もご利用ください。

は  じ  め  に

 岐阜県には、全国の地歌舞伎保存会の2割が集中している、と言われている。地歌舞伎とは、地域民が役者になって演ずる歌舞伎で、その上演には、振付師をはじめ、義太夫・三味線・顔師・着付、衣裳屋、それに上演場(舞台)が揃わなければならない。江戸時代から、祭礼芸能として伝承されてきた地域だからこそ、保存会が成立している。とはいえ、その伝承活動は、上演費用負担、後継者不足など難問をかかえながらであり、関係者の深い情熱とたいへんなエネルギーの注ぎが核になって成り立っている。

 本書は、岐阜県の平成19年度の「ふるさとぎふ再生基金提案事業」に応募し、基金助成を受けた「岐阜県の地芝居総合調査・紹介事業」の紹介本として、刊行の運びとなった。内容は、現在上演活動をしている28の地歌舞伎に、5の獅子芝居、5の人形浄瑠璃(文楽)、1の能狂言を加え、地芝居と総称し、第1章は、それぞれの活動状況や観劇案内をし、第2章は、執筆者がそれぞれ地芝居を語る、という構成である。

 地芝居の多くは、昭和10年代後半の戦時下では休止状態だったが、戦後復活した。しかし、昭和30年代の経済生活の変貌とか、映画ブームやテレビ普及による娯楽嗜好の変化が影響して、衰微した。上演場としての農村舞台は、かつて、どの町村にもあったが、ほとんどが廃絶された。その中で、各務原市の村国座、下呂町の白雲座をはじめ、いくつかの農村舞台が改修を重ねて今日にその姿をみせ、地芝居の上演場としての役割を担い続けている。今日の保存団体の多くは、昭和40年代前後以降、地芝居への熱い思いに燃える人たちによって、「残していきたい、残さなければならない」として、上演活動を再開したものであり、本書から関係者のあふれる情熱が伝わることを期待したい。

 終わりに、本書の刊行に理解と協力をいただいた岐阜県及び岐阜県教育委員会社会教育文化課と、各地芝居保存会並びにに関係教育委員会や団体・機関に厚く御礼申し上げる。それに、本書が地芝居伝承活動について、県民の関心と理解が深まり、県外や世界の地方演劇に感心をよせる方々への良きガイドブックとして、活用されることを期待する。